世界の新型コロナウイルス変異株の発生状況(2022年1月24日更新)

 新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がり、各地で独自の変異を繰り返した結果、世界中から様々な変異株が報告されています。現在新型コロナウイルの遺伝子情報はGISAID Initiative*に登録され、そのデータは迅速に公開され誰でも利用することが可能です。

 この表はGISAIDのデータを共有して多角的な疫学解析レポートの自動作成が行えるサイトOutbreak infoLocation Trackerによって公開されている国別の登録シーケンス数、過去60日間の変異株検出データと、世界規模の情報公開サイトOur World in Dataより各国患者報告数の7日間移動平均値を参照して作成しました。

 表の並びは2022年1月2日における各国の患者報告数の多い順になっています。記載してある株は以前はVOC(懸念すべき変異株)としていましたが、世界的に流行株のほとんどがデルタ株とオミクロン株になったため、Pango命名法に基づくデルタ株のSublineages(AT亜型)とオミクロン株Sublineages(BA亜型)を併記しました。 またいくつかの国からは過去60日以上有効な解析情報の提供がありませんでした。先週からの増減の数字の前の▲は減少を表しています。患者データの提出が遅れている国については、最新の患者発生データに基準日を併記しています。(2022年1月15日~2022年1月22日)

・以前に比べ各国のゲノム解析への対応が迅速になった為、流行株の集計を過去60日間から30日間に変更し、流行株の変化に迅速に対応できるようにしました。

*.GISAIDの目的ははエピデミックおよびパンデミックウイルスデータへの迅速かつオープンなアクセスを可能にするデータベースを作る事であり、現在は新型コロナウイルスのシーケンスデータの共有基盤として機能しています。

 

オミクロン株の世界的な流行と患者数の増加

年末から特に欧州,北米を中心に新型コロナウイルス患者が急増しています。今までの流行株では見られない急激な患者数増加にオミクロン株の関与が示唆されます。(7日間移動平均値)

 出典:ourworldindata.org/covid-cases
 

 世界各国の変異株検出比率を表しています。多くの国でオミクロン株の検出割合が半数以上を占めており、その比率は昨年末から上昇を続けています。

                             出典:ourworldindata.org/covid-cases

コロナウイルスによる死亡者数の変遷を表すグラフです。患者数の増加により死亡者数も増加傾向にあり特に北米、南米において増加が顕著です。

出典: ourworldindata

 関連資料

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 (オミクロン株の電子顕微鏡写真追加 NEW 
東京都で検出された新型コロナウイルスの 全ゲノム解析結果について  (オミクロン株追加)
当センターにおける新型コロナウイルス変異株スクリーニング検査結果
新型コロナウイルスに関する研究成果の先行公開(研究年報 第72号掲分)NEW
VeroE6/TMPRSS2細胞を使用したデルタ株の分離培養について
 

オミクロン株とパンゴ系統名について(B.1.1.529,BA.1,BA.1.1,BA.2,BA.3,)

・11月24日に新型コロナウイルス変異株の命名組織の一つであるパンゴ委員会は「南アフリカに関連するスパイク蛋白変異を有するB.1.1系統株#343」という提案について審議し、新型変異株B.1.1.529を認定し、WHO同日当該株をVUM(監視中の変異株)に指定しました。

・11月26日WHOはB.1.1.529株をVOC(懸念される変異株)に指定オミクロンと命名しました。

・12月7日にパンゴ委員会にとして提案された「新たに特性解析された兄弟系統を組み込むためのB.1.1 .529の分割案#361」によりBA.1・BA.2が認定されました。

・12月9日にPangoNetworkに公開されたオミクロン系統B.1.1.529の更新」によれば、パンゴ委員会は世界中から集められたオミクロンと思われる遺伝子を解析した結果、これらに共通する先祖株をB.1.1.529系統とし、その子孫系統にあたるWHOのオミクロンに指定された系統をBA.1、それ以外の集団BA.2と再定義しました。

・12月12日に提案された「B.1.1.529(オミクロン関連)の3番目の亜系統#367」について審議し、12月14日にBA.1にもBA.2にも当てはまらない株BA.3が認定されました。

・12月16日パンゴ委員会、CDC、GISAIDではB.1.1.529と全てのBA系統(BA.1、BA.2、BA.3)を含めてオミクロン株とし、WHOはVOC指定株については全て子孫系統までを含むとしています。

・12月5日にパンゴ委員会に提案された「潜在的に有益な突然変異を伴うオミクロン亜系統S:346K #360」が審議され、1月8日に新系統B.1.1が追加されました。

新しい変異株の分類について(WHO) オミクロン株をVOCに追加

 世界規模で新型コロナウイルスの変異株の種類が増加し感染地域も変化しています。病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果等の観点から、危険性について様々な機関がVOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)等のクラス分けを行っています。

 11月26日世界保健機構(WHO)より上記の分類について更新する旨の発表がありました。新しくVOCに指定されたオミクロン(B.1.1.529,#343)については、WHOの、Classification of Omicron (B.1.1.529): SARS-CoV-2 Variant of Concernをご参照ください。WHOはVOC指定株については全て子孫系統までを含むとしました。          

 VOCとVOIの下にVUMを設け、旧VOIとされていたカッパ、イオタ、イータの3種をここに定め、イプシロン:B.1.427 / B.1.429; ゼータ、シータ株は指定を解除されました。VUMカテゴリーは基本的にギリシャ文字のラベルは割り当てられません。Naming SARS-CoV-2 variants  last updated on 30 November 2021. )

米国CDCによる危険度分類の変更について

 また、CDC(米国)も9月23日に新しい変異株の分類と定義を発表し、VOCをデルタ株とオミクロン株とし、VOIは該当なし、またアメリカ国内で流行している10種の変異株を新たにVariant Being Monitored(VBM)として定義し、アルファ(B.1.1.7、Q.1-Q.8)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、ガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)、イプシロン(B.1.427およびB.1.429)、イータ(B.1.525)、イオタ(B.1.526)、カッパ(B.1.617.1)、B.1.617.3、ミュー(B.1.621、B.1.621.1)ゼータ(P.2)を指定しました。HVOIという分類も作られましたが、該当株はありませんでした。

 2012年11月30日にオミクロン株(B.1.1.259,BA系統)がVOCに追加されました。追加の理由として

  • 感染力増大の可能性
  • 一部のEUAモノクローナル抗体治療法における中和抗体価低下の可能性
  • ワクチン接種後の血中抗体価低下の可能性 

 をあげています。

世界のデルタ株亜型の検出割合の経時的変化について

世界中で検出された新型コロナウイルス変異株の情報は上に述べたようにGISAID Initiative*に集約され、誰でも利用できる形で共有されています。その中の変異株情報集計サイトoutbreak-infoLineage|Mutation Trackerページから世界中で検出された様々な変異株の検出な情報にアクセスすることができます。その一例として今年の4月から現在までの世界中から検出されたデルタ株亜型(sublineage)の経時的な検出割合を示します。遺伝子情報を11月15日時点で最新の解析法を用いて分類してあります。分類法は新しい変異株情報の提案審議され毎週の様に更新され続けており、以前に検出されたウイルス遺伝子についても最新の方法により再度分析をしているので、同じ株に新しい名称が与えられている場合もありますが、それは新しい変異株が出現したのではなく新しい分類法により新しい名称が付けられた結果であることにご注意下さい。2021-11-09 世界のデルタ株

outbreak-info Mutation Tracker Delta Variant Reportより

 注:WHO.Pango,CDC等で使用されている変異株を表す単語は、lineage(系統)、Strain(株)、Variant(変異体)clade(分岐群)等様々であり厳密には違いもありますが、ここでは混乱を避けるために「型」と表記しています。

デルタ株におけるAY亜型(sublineage)の流行地域と定義について (~AY.127)

 2021年11月1日にPangoNetworkよりAY系統についての新しい概要が発表になり、AY.119までの情報が公開されました。現在、cov-lineages系統表リストには現在AY.130までの概要が追加されており、日々更新され続けるAY亜型の詳細は、PangoNetworkSummary of designated AY lineagesに掲載されています。

 デルタ株におけるAY亜型は、パンゴ委員会(Pango Committee)デルタ株のより詳細な地域別、国別のデータ収集及び疫学的調査を行うために設けられた区分で、ウイルスの性質に大きな違いは確認されていません。今後も国やクラスターの状況把握と解析のためにさらに多くの亜型の認定が予定されています。

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