世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(9月28日更新)監視下のオミクロン亜系統

世界の新型コロナウイルス変異株国別発生状況について(9月19日~9月26日)

 新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がり、各地で独自の変異を繰り返した結果、世界中から様々な変異株が報告されています。現在新型コロナウイルの遺伝子情報はGISAID Initiativeに登録され、そのデータは迅速に公開され誰でも利用することが可能となっています。

 この表はGISAIDのデータを共有して多角的な疫学解析レポートの自動作成機能が使えるサイトOutbreak infoLocation Trackerによって公開されている国別の登録シーケンス数、過去約30日間の変異株検出データと、世界規模の情報公開サイトOur World in Dataより各国患者報告数の7日間移動平均値を参照して作成しました。

表の並びは2022年9月18日における各国の一日当たりの新規患者報告数の多い順になっています。記載してある株は以前はVOC(懸念すべき変異株)の情報を記載していましたが、流行株のほとんどがオミクロン株になったためPango命名法に基づくオミクロン株のSublineages(BA亜型)を併記しました。 

 一週間の陽性患者数の数字の前の▲は減少を表しています。患者データの提出が遅れている国は、最近の患者発生数に集計日を併記しています。

・各国の流行型は直近約30日間に登録のあった中で一番多い亜型を記載しています。一般的に新たに出現した変異株の解析を最優先して行う傾向があるため、時期によっては必ずしもその国の代表的な流行株を表しているとは限らない事にご留意下さい。 

 関連資料

新型コロナウイルスに関する研究成果の公開(研究年報 第72号掲分)
当所における新型コロナウイルス変異株の検査体制について(BA.5亜型等への対応)
東京都で検出された新型コロナウイルスの 全ゲノム解析結果について  (BA株追加)
新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 オミクロン株の電子顕微鏡写真追加
VeroE6/TMPRSS2細胞を使用したデルタ株の分離培養について
                        

新たに命名されたオミクロン系統と命名法について

オミクロン株は現在更に多くの子孫系統に分枝し、新たな名称が与えられる系統が出てきました。これは、「系統を表す小数点が3を超えると新しいアルファベットが接頭詞として再附番される」というPango系統の呼称規則によるものです。BE,BF,BKの系統は全てBA.5系統の、BG系統はBA,2,12,1、BL,BN系統はBA.2.75のそれぞれ子孫系統となります。

下の表はWHOの指定する監視中のオミクロン亜系統(Omicron subvariants under monitoring)と指定されたものについて再附番された系統を表示しています。表示を見やすくするために附番された系統名のみ表示してありますが、全ての監視中のオミクロン亜系統の子孫系統をご覧になりたい方はここをクリックしてください。

ちなみに、現在オミクロン株で使用されているBAという系統名もB.1.1.529から再附番されたもので、B.1.1.529.2はBA2、B.1.1.529.5はBA.5と命名されています。

 

  世界のオミクロン変異株と亜型の流行状況について

 世界で流行する新型コロナウイルスの99%以上がオミクロン株となりました。しかしオミクロン株にも様々な亜型が存在しそれらが出現と消滅を繰り返しながら現在も変化を続けています。

 近年では世界の多くの国で広くワクチン接種が行われていることから、ウイルスの感染力だけでなく免疫回避能力(ワクチン効果減弱)の高さも流行の重要なファクターと考えられ、表面抗原の一種Sタンパク上の変異に注目が集まっています。

                           出典:outbreak.info/situation-reports/omicron

今年の4月以降からS蛋白のL452部位の遺伝子変異を持つ亜型が著しく増加し特に同部位がL→Rに変化したBA.5,とその子孫株に当たるBE、BF等の株は現在も増加傾向にありその動向が注目されています。 WHOでは、これらの亜系統を監視中のVOC亜型(VOC-LUM)と命名して各国に監視を呼びかけています。  

                            出典:outbreak.info

変異株の分類の変更について(WHO) VOCの亜系統別監視にBA.2.75を追加

 世界規模で新型コロナウイルスの変異株の種類が増加し感染地域も変化しています。病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果等の観点から、危険性について様々な機関がVOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)、VUM(監視中の変異株)等のクラス分けを行っています。

 2022年6月7日に世界保健機構(WHO)より上記の分類について更新を行い、VOCをオミクロン株のみする旨の発表がありました。オミクロン株は現在世界で流行している主要な変異株であり、2022年2月以は降報告される新型コロナウイルスゲノムのほぼ100%をオミクロン株が占めるに至りVOCの定義を満たす株が他に無くなったためと思われます。ちなみVOCにはオミクロン系統に属する全て株が含まれます。(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5および子孫系統ならびに、XE などの BA.1/BA.2 組換え型も含まれる)。

 

監視中のオミクロン亜系統の追加

 オミクロン株は現在も変異を続け、異なる変異を持つ子孫系統(亜型)を増やしており、その中の特定の系統が公衆衛生上のリスクを獲得する可能性も考えられます。その様な事態にに対応するために、監視中のオミクロン亜系統というカテゴリを追加し脅威となる可能性を調査する事を目的として4つの亜型が指定されました。全ての子孫系統株のリストはここをクリック

 注目すべき変異株(VOI)および監視中の変異株(VUM)の指定を解除。

  現在指定されている株はありません。

Naming SARS-CoV-2 variants

世界的なオミクロン株の亜型の流行状況について

年末から特に欧州,北米を中心に新型コロナウイルス患者が急増しました。この今までの流行株では見られない程の急激な患者数の増加はオミクロン株によるものでした。この世界的流行は1月24日をピークに減少していましたが、主にヨーロッパアジア圏を中心として6月上旬から増加を続けています。

 出典:ourworldindata.org/covid-cases

コロナウイルスによる死亡者数の変遷を表すグラフです。患者数の増加により世界における死亡者数も大幅な増加が見られましたが、2月10日をピークに世界的な減少傾向が続いていましたが、患者数の層化に伴い死亡者数も増加しています。

出典: ourworldindata

オミクロン株のパンゴ系統名について(BA.1~、BA.2~,BA.3~.)

11月24日:新型コロナウイルス変異株の命名組織の一つであるパンゴ委員会は提案#343「南アフリカに関連するスパイク蛋白変異を有するB.1.1系統株」について検討した結果、
この株をB.1.1.529と命名し、同日WHOはこの株をVUM(監視中の変異株)に指定しました。

11月26日:WHOはB.1.1.529株をVOC(懸念される変異株)に再指定オミクロンと命名。

12月7日:にパンゴ委員会に提案された「新たに特性解析された兄弟系統を組み込むためのB.1.1 .529の分割案#361」により亜型BA.1・BA.2が指定されました。

12月9日PangoNetworkに公開された「オミクロン系統B.1.1.529の更新」により、パンゴ委員会が世界中から集められたオミクロンと思われる遺伝子の解析結果から、これらに共通する先祖株をB.1.1.529系統と定め、子孫系統にあたるWHOのオミクロンに指定された系統を BA.1、それ以外の集団をBA.2と再定義しました。

参考:当所における新型コロナウイルス変異株の検査について(BA.2系統への対応)

12月12日:提案された「B.1.1.529(オミクロン関連)の3番目の亜系統#367」について審議し、12月14日にBA.1にもBA.2にも当てはまらない株としてBA.3が定義されました。

12月16日パンゴ委員会、CDCではB.1.1.529と全てのBA系統(BA.1、BA.2、BA.3)を含めてオミクロン株とし、WHOもVOC指定株については全て子孫系統までを指定対象として定義しました。

1月8日:パンゴ委員会に提案された「潜在的に有益な突然変異を伴うオミクロン亜系統S:346K #360」により、アミノ酸変異S:R346Kを指標とする亜系統B.1.1が追加されました。

2月17日パンゴ-指定 v1.2.128によりBA.1に新たに以下の系統が新たに追加されることが発表されました。これらの系統は各国の研究者から出された提案によって決定されたものではないことから、これらはデルタ株におけるAY系統の様に様々な地域流行やクラスターを監視するためにパンゴ命名委員会が現在の株を細分化して監視するために設けたカテゴリーと思われます。

 ・ BA.1.2 と61種類の指定配列を追加   (マヨットとレユニオンの系統)
 ・ BA.1.3 と198種類の指定配列を追加    (カナダ系統)
 ・ BA.1.4 と183種類の指定配列を追加    (フランス系統)
 ・ BA.1.5 と191種類の指定配列を追加    (イギリス系統)
 ・ BA.1.6 と253種類の指定配列を追加   (カナダおよびシントマールテン系統)
 ・ BA.1.7 と473種類の指定配列を追加    (イギリス系統)
 ・ BA.1.8 と356種類の指定配列を追加    (ヨーロッパ系統)
 ・ BA.1.9 と309種類の指定配列を追加    (ブラジル系統)
 ・ BA.1.10 と1252種類の指定配列を追加  (イギリス系統)
 ・ BA.1.11 と0種類の指定配列を追加     (系統再割当ての為廃番)
 ・ BA.1.12 と1862種類の指定配列を追加  (イギリス系統)
 ・ BA.1.13 と1522種類の指定配列を追加  (ヨーロッパ系統)
 ・ BA.1.13.1 と1536種類の指定配列を追加 (インドネシア系統)
 ・ BA.1.14 と4539種類の指定配列を追加  (ブラジルおよびその他の国の系統)
 ・ BA.1.15 と35942種類の指定配列を追加 (アメリカおよびその他の国の系統)
 ・ BA.1.15.1 と20043種類の指定配列を追加(イギリス系統)

2月23日パンゴ指定v1.2.130によりBA.1に新たに下記の系統が追加されました。

 ・BA.1.16と7687の指定配列    (イギリス系統)
 ・BA.1.16.1と63の指定配      (タイ、インドネシア、カンボジア系統)
 ・BA.1.17と8434指定配列     (ヨーロッパ系統)
 ・BA.1.17.1と309の指定配列   (オーストリア系統)
 ・BA.1.1.1と6023指定配列    (ヨーロッパ系統)
 ・BC.1と1000の指定配列     (指定v1.2.131にて削除
 ・BA.1.1.2と6244の指定配列   (日本系統
 ・BA.1.1.3と291の指定配列     (スイス系統)
 ・BA.1.1.4と791の指定配列     (イギリス系統)
 ・BA.1.1.5と106の指定配列     (韓国系統)
 ・BA.1.1.6と352の指定配列     (カナダ系統)
 ・BA.1.1.7と233の指定配列     (インドとその他の国の系統)
 ・BA.1.1.8と381の指定配列     (米国系統)
 ・BA.1.1.9と228の指定配列     (ニュージーランド系統)
 ・BA.1.1.10と1146の指定配列   (カナダ系統)
 ・BA.1.1.11と1990の指定配列   (ヨーロッパ系統)
 ・BA.1.1.12と1929の指定配列   (イギリス系統)
 ・BA.1.1.13と4146の新指定配列  (イギリス系統)
 ・BA.1.1.14と6395指定配列      (ヨーロッパ系統)
 ・BA.1.1.15と6343の指定配列   (ヨーロッパ、オーストラリア系統)
 ・BA.1.1.16と1020の指定配列   (カナダ、アメリカ系統)

・2月26日パンゴ指定1.2.131により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.1と532の指定配列    (イギリス系統)
 ・BA.2.2と68の指定配列     (香港系統#430
 ・BA.2.3と1938年の指定配列   (フィリピンとその他の国の系統)

・3月26日パンゴ指定1.2.135により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.4と96の指定配列     (シンガポール系統)
 ・BA.2.5と387の指定配列    (ポルトガルとその他の国の系統)
 ・BA.2.6と127の指定配列    (フランスとその他の国の系統)
 ・BA.2.7と519の指定配列    (アメリカ系統)

・3月29日パンゴ指定1.2.136により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.8と1614の指定配列   (イギリス系統#486

・3月30日パンゴ指定1.2.137により下記の系統が追加されました

 ・BA.1.18と20919の指定配列  (フランス系統#474
 ・BA.1.19と2662の指定配列  (ポルトガル系統#475

・4月1日パンゴ指定 v1.2.140により下記の系統が追加されました

 ・BA.1.17.2と4219の指定配列 (S:701V変異を持つBA.1.17系統 #453
 ・BA.2.9と4826の指定配列  (ヨーロッパ系統 #432
 ・BA.2.3.1と59の指定配列     (S: Q677E変異を持つBA.2.3 日本系統 #495
 ・BA.2.10と13594の指定配列  (ORF1b:S959P変異を持つBA.2系統 #496

・4月6日パンゴ指定 v1.3により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.3.2と118の指定配列   (ベトナム、日本系統)
 ・BA.10.1.11と28の指定配列   (シンガポール及びその他の系統)
 ・BA.4と26の指定配列      (S:L452R変異を持つ南アフリカ系統 #517
 ・BA.5と16の指定配列      (S:L452R変異を持つ南アフリカ系統 #517
 ・BA.2.11と27の指定配列    (S:L452R変異を持つフランス系統 #491
 ・BA.2.12と1495の指定系統    (北米、欧米系統 #499
 ・BA.2.12.1と265の指定配列   (S:L452Q変異を持つアメリカ系統 #499

4月8日パンゴ指定v1.4により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.9.1と98の指定配列    (イギリス系統#530)
 ・BA.2.13と53の指定配列     (ヨーロッパ系統#531
 ・BA.1.20と1724の指定配列   (アメリカ系統#375
 ・BA.1.21と5064の指定配列   (ノルウェー系統#505
 ・BA.1.21.1と539の指定配列   (イタリア系統#409)
 ・BA.1.14.1と1360の指定配列    (ブラジル系統#506)
 ・BA.1.14.2と175の指定配列    (ブラジル系統)
 ・BA.1.15.2と1082の指定配列    (S:Q628Kを持つ米国系統#508

4月15日:パンご指定v1.5により下記の系統が追加されました

 ・BA.1.1.17と403の指定配列    (アメリカ系統#452
 ・BA.1.16.2と58の配列指定    (BA.1.16から20の配列を更新)
 ・BA.2.1と502の配列指定     (デンマーク系統#512
 ・BA.2.15と58の指定配列     (南アフリカ系統#533
 ・BA.2.16と379の指定配列   (N:T296I を含むイギリス系統#534

次々と認定される新系統株へのシステム対応には時間がかかることがあります。また、遺伝子の挿入変異(Ex.ins214EPE)については対応していない集計サイトも多いので注意が必要です。

 

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