世界の新型コロナウイルス変異株流行状況(5月24日更新しました)

 新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がり、各地で独自の変異を繰り返した結果、世界中から様々な変異株が報告されています。現在新型コロナウイルの遺伝子情報はGISAID Initiative*に登録され、そのデータは迅速に公開され誰でも利用することが可能となっています。

 この表はGISAIDのデータを共有して多角的な疫学解析レポートの自動作成機能が使えるサイトOutbreak infoLocation Trackerによって公開されている国別の登録シーケンス数、過去約30日間の変異株検出データと、世界規模の情報公開サイトOur World in Dataより各国患者報告数の7日間移動平均値を参照して作成しました。

 表の並びは2022年5月17日における各国の一日当たりの新規患者報告数の多い順になっています。記載してある株は以前はVOC(懸念すべき変異株)の情報を記載していましたが、世界的に流行株のほとんどがオミクロン株になったためPango命名法に基づくオミクロン株のSublineages(BA亜型)を併記しました。 

 一週間の陽性患者数の数字の前の▲は減少を表しています。患者データの提出が遅れている国は、最近の患者発生数に集計日を併記しています。(2022年5月16日~2022年5月23*.GISAIDの目的はエピデミックおよびパンデミックウイルスの遺伝子データへの迅速かつオープンなアクセスを可能にするデータベースを作る事であり、現在は新型コロナウイルスの遺伝子データベースとして機能しています。

 関連資料

新型コロナウイルスに関する研究成果の先行公開(研究年報 第72号掲分)
当所における新型コロナウイルス変異株の検査体制について(BA.2系統対応)
東京都で検出された新型コロナウイルスの 全ゲノム解析結果について  (BA株追加)
新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真 オミクロン株の電子顕微鏡写真追加
VeroE6/TMPRSS2細胞を使用したデルタ株の分離培養について
  

オミクロン株の世界的な流行と患者数の増加

 世界各国の変異株検出比率です。オミクロン株が主流となっています。                             出典:ourworldindata.org/covid-cases

年末から特に欧州,北米を中心に新型コロナウイルス患者が急増しました。この今までの流行株では見られない程の急激な患者数の増加はオミクロン株によるものでした。この世界的流行は1月24日をピークに減少していますが、主にアジア、ヨーロッパを中心として3月上旬から3月17日にかけて一時的に増加した後に再び減少を続けています。

   出典:ourworldindata.org/covid-cases

コロナウイルスによる死亡者数の変遷を表すグラフです。患者数の増加により世界における死亡者数も大幅な増加が見られましたが、2月10日をピークに世界的な減少傾向が続いています。

 出典: ourworldindata

オミクロン株とパンゴ系統名について(BA.1~、BA.2~,BA.3~.)

11月24日:新型コロナウイルス変異株の命名組織の一つであるパンゴ委員会は提案#343「南アフリカに関連するスパイク蛋白変異を有するB.1.1系統株」について検討した結果、
この株をB.1.1.529と命名し、同日WHOはこの株をVUM(監視中の変異株)に指定しました。

11月26日:WHOはB.1.1.529株をVOC(懸念される変異株)に再指定オミクロンと命名。

12月7日:にパンゴ委員会に提案された「新たに特性解析された兄弟系統を組み込むためのB.1.1 .529の分割案#361」により亜型BA.1・BA.2が指定されました。

12月9日PangoNetworkに公開された「オミクロン系統B.1.1.529の更新」により、パンゴ委員会が世界中から集められたオミクロンと思われる遺伝子の解析結果から、これらに共通する先祖株をB.1.1.529系統と定め、子孫系統にあたるWHOのオミクロンに指定された系統を BA.1、それ以外の集団をBA.2と再定義しました。

参考:当所における新型コロナウイルス変異株の検査について(BA.2系統への対応)

12月12日:提案された「B.1.1.529(オミクロン関連)の3番目の亜系統#367」について審議し、12月14日にBA.1にもBA.2にも当てはまらない株としてBA.3が定義されました。

12月16日パンゴ委員会、CDCではB.1.1.529と全てのBA系統(BA.1、BA.2、BA.3)を含めてオミクロン株とし、WHOもVOC指定株については全て子孫系統までを指定対象として定義しました。

1月8日:パンゴ委員会に提案された「潜在的に有益な突然変異を伴うオミクロン亜系統S:346K #360」により、アミノ酸変異S:R346Kを指標とする亜系統B.1.1が追加されました。

2月17日パンゴ-指定 v1.2.128によりBA.1に新たに以下の系統が新たに追加されることが発表されました。これらの系統は各国の研究者から出された提案によって決定されたものではないことから、これらはデルタ株におけるAY系統の様に様々な地域流行やクラスターを監視するためにパンゴ命名委員会が現在の株を細分化して監視するために設けたカテゴリーと思われます。

 ・ BA.1.2 と61種類の指定配列を追加   (マヨットとレユニオンの系統)
 ・ BA.1.3 と198種類の指定配列を追加    (カナダ系統)
 ・ BA.1.4 と183種類の指定配列を追加    (フランス系統)
 ・ BA.1.5 と191種類の指定配列を追加    (イギリス系統)
 ・ BA.1.6 と253種類の指定配列を追加   (カナダおよびシントマールテン系統)
 ・ BA.1.7 と473種類の指定配列を追加    (イギリス系統)
 ・ BA.1.8 と356種類の指定配列を追加    (ヨーロッパ系統)
 ・ BA.1.9 と309種類の指定配列を追加    (ブラジル系統)
 ・ BA.1.10 と1252種類の指定配列を追加  (イギリス系統)
 ・ BA.1.11 と0種類の指定配列を追加     (系統再割当ての為廃番)
 ・ BA.1.12 と1862種類の指定配列を追加  (イギリス系統)
 ・ BA.1.13 と1522種類の指定配列を追加  (ヨーロッパ系統)
 ・ BA.1.13.1 と1536種類の指定配列を追加 (インドネシア系統)
 ・ BA.1.14 と4539種類の指定配列を追加  (ブラジルおよびその他の国の系統)
 ・ BA.1.15 と35942種類の指定配列を追加 (アメリカおよびその他の国の系統)
 ・ BA.1.15.1 と20043種類の指定配列を追加(イギリス系統)

2月23日パンゴ指定v1.2.130によりBA.1に新たに下記の系統が追加されました。

 ・BA.1.16と7687の指定配列    (イギリス系統)
 ・BA.1.16.1と63の指定配      (タイ、インドネシア、カンボジア系統)
 ・BA.1.17と8434指定配列     (ヨーロッパ系統)
 ・BA.1.17.1と309の指定配列   (オーストリア系統)
 ・BA.1.1.1と6023指定配列    (ヨーロッパ系統)
 ・BC.1と1000の指定配列     (指定v1.2.131にて削除
 ・BA.1.1.2と6244の指定配列   (日本系統
 ・BA.1.1.3と291の指定配列     (スイス系統)
 ・BA.1.1.4と791の指定配列     (イギリス系統)
 ・BA.1.1.5と106の指定配列     (韓国系統)
 ・BA.1.1.6と352の指定配列     (カナダ系統)
 ・BA.1.1.7と233の指定配列     (インドとその他の国の系統)
 ・BA.1.1.8と381の指定配列     (米国系統)
 ・BA.1.1.9と228の指定配列     (ニュージーランド系統)
 ・BA.1.1.10と1146の指定配列   (カナダ系統)
 ・BA.1.1.11と1990の指定配列   (ヨーロッパ系統)
 ・BA.1.1.12と1929の指定配列   (イギリス系統)
 ・BA.1.1.13と4146の新指定配列  (イギリス系統)
 ・BA.1.1.14と6395指定配列      (ヨーロッパ系統)
 ・BA.1.1.15と6343の指定配列   (ヨーロッパ、オーストラリア系統)
 ・BA.1.1.16と1020の指定配列   (カナダ、アメリカ系統)

・2月26日パンゴ指定1.2.131により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.1と532の指定配列    (イギリス系統)
 ・BA.2.2と68の指定配列     (香港系統#430
 ・BA.2.3と1938年の指定配列   (フィリピンとその他の国の系統)

・3月26日パンゴ指定1.2.135により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.4と96の指定配列     (シンガポール系統)
 ・BA.2.5と387の指定配列    (ポルトガルとその他の国の系統)
 ・BA.2.6と127の指定配列    (フランスとその他の国の系統)
 ・BA.2.7と519の指定配列    (アメリカ系統)

・3月29日パンゴ指定1.2.136により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.8と1614の指定配列   (イギリス系統#486

・3月30日パンゴ指定1.2.137により下記の系統が追加されました

 ・BA.1.18と20919の指定配列  (フランス系統#474
 ・BA.1.19と2662の指定配列  (ポルトガル系統#475

・4月1日パンゴ指定 v1.2.140により下記の系統が追加されました

 ・BA.1.17.2と4219の指定配列 (S:701V変異を持つBA.1.17系統 #453
 ・BA.2.9と4826の指定配列  (ヨーロッパ系統 #432
 ・BA.2.3.1と59の指定配列     (S: Q677E変異を持つBA.2.3 日本系統 #495
 ・BA.2.10と13594の指定配列  (ORF1b:S959P変異を持つBA.2系統 #496

・4月6日パンゴ指定 v1.3により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.3.2と118の指定配列   (ベトナム、日本系統)
 ・BA.10.1.11と28の指定配列   (シンガポール及びその他の系統)
 ・BA.4と26の指定配列      (S:L452R変異を持つ南アフリカ系統 #517
 ・BA.5と16の指定配列      (S:L452R変異を持つ南アフリカ系統 #517
 ・BA.2.11と27の指定配列    (S:L452R変異を持つフランス系統 #491
 ・BA.2.12と1495の指定系統    (北米、欧米系統 #499
 ・BA.2.12.1と265の指定配列   (S:L452Q変異を持つアメリカ系統 #499

4月8日パンゴ指定v1.4により下記の系統が追加されました

 ・BA.2.9.1と98の指定配列    (イギリス系統#530)
 ・BA.2.13と53の指定配列     (ヨーロッパ系統#531
 ・BA.1.20と1724の指定配列   (アメリカ系統#375
 ・BA.1.21と5064の指定配列   (ノルウェー系統#505
 ・BA.1.21.1と539の指定配列   (イタリア系統#409)
 ・BA.1.14.1と1360の指定配列    (ブラジル系統#506)
 ・BA.1.14.2と175の指定配列    (ブラジル系統)
 ・BA.1.15.2と1082の指定配列    (S:Q628Kを持つ米国系統#508

・4月15日:パンご指定v1.5により下記の系統が追加されました

 ・BA.1.1.17と403の指定配列    (アメリカ系統#452
 ・BA.1.16.2と58の配列指定    (BA.1.16から20の配列を更新)
 ・BA.2.1と502の配列指定     (デンマーク系統#512
 ・BA.2.15と58の指定配列     (南アフリカ系統#533
 ・BA.2.16と379の指定配列   (N:T296I を含むイギリス系統#534

次々と認定される新系統株へのシステム対応には時間がかかることがあります。また、遺伝子の挿入変異(Ex.ins214EPE)については対応していない集計サイトも多いので注意が必要です。

変異株の分類について(WHO) 非流行株の指定解除、組替えウイルスをVUMに指定

 世界規模で新型コロナウイルスの変異株の種類が増加し感染地域も変化しています。病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果等の観点から、危険性について様々な機関がVOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)等のクラス分けを行っています。

 2022年3月16日に世界保健機構(WHO)より上記の分類について更新する旨の発表がありました。懸念される変異株(VOC)に指定されていたアルファ株、ベータ株、ガンマ株の指定が解除され、デルタ株とオミクロン株だけになりました。

 関心のある変異株(VOI)に指定されていたラムダ株とミュー株も指定を解除された結果、VOIに指定される変異株は現在ありません。

 監視中の変異株(VUM)は、AZ.5,C.1.2の2株の指定が解除され、新たにBA.1とAY.4の組換え株XDが指定されたことにより、従来のB.1.640と合わせて2株になりました。  Naming SARS-CoV-2 variants

米国CDCによる危険度分類の変更について

 また、CDC(米国)も9月23日に新しい変異株の分類と定義を発表し、VOCをデルタ株とオミクロン株とし、VOIは該当なし、またアメリカ国内で流行している10種の変異株を新たにVariant Being Monitored(VBM)として定義し、アルファ(B.1.1.7、Q.1-Q.8)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、ガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)、イプシロン(B.1.427およびB.1.429)、イータ(B.1.525)、イオタ(B.1.526)、カッパ(B.1.617.1)、B.1.617.3、ミュー(B.1.621、B.1.621.1)ゼータ(P.2)を指定しました。HVOIという分類も作られましたが、該当株はありませんでした。

 2021年11月30日にオミクロン株(B.1.1.259,BA系統)がVOCに追加されました。追加の理由として

  • 感染力増大の可能性
  • 一部のEUAモノクローナル抗体治療法における中和抗体価低下の可能性
  • ワクチン接種後の血中抗体価低下の可能性 

 をあげています。

 

デルタ株におけるAY亜型(sublineage)の流行地域と定義について 

 

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