当センターでは、2020年12月からリアルタイムPCRによる新型コロナウイルスの変異株スクリーニング検査を行っています。この検査ではアルファ株(B.1.1.7)、ベータ株(B.1.351)、ガンマ株(P.1)のスパイク蛋白に共通して現れるN501Y変異、ベータ株、ガンマ株、R.1株に見られるE484K変異、デルタ株(B.1.617.2)に現れるL452R変異の有無を確認してきました。
その後、新たな変異株、オミクロン株の発生の報告を受けてセンター独自の変異株PCR検査手法を開発し、2021年12月3日より当該ウイルスの検査を開始しました。この方法ではL452R,N501Y,E484Aの変異の有無を検出することで、新型コロナウイルスがオミクロン株、デルタ株、アルファ株のいずれに該当するか推定することが可能となりました。
参考: 研究年報 第72号リアルタイムPCR法を用いたSARS-CoV-2変異検出法の検討
新型コロナ保健医療情報ポータル 変異株情報
オミクロン株に関する情報ページより
2021年12月7日にコロナウイルスの命名委員会に提案された「新たに特性解析された兄弟系統を組み込むためのB.1.1 .529の分割案#361」によりオミクロン株はBA.1・BA.2の2系統に分類されました。当所ではBA.2 系統が一部の国や地域で増加していることを受け、BA.2系統の検出法を開発、1月31日搬入分の検体から検査を開始し、2月17日にBA.2疑い株が1検体確認されました。
(第79回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料変異株PCR検査について
より)
2022年6月7日に世界保健機構(WHO)より新型コロナウイルス株について更新が行われ、VOCをオミクロン株のみとし、更に監視中のVOC亜型(VOC-LUM)というカテゴリを追加し脅威となる可能性を持つ亜型を監視するために以下の亜型が指定されました。
この決定を受けて検査法の開発を行い、5月23日から「BA.2.12.1系統」「BA.4系統」および「BA.5系統」に対応した変異株PCR検査を開始しました。通常の「BA.2系統」にはない「L452R」の変異がある場合、デルタ株の可能性はなく、「BA.4系統」又は「BA.5系統」の疑いがあります。M領域の変異「D3N」の有無を確認し、変異がある場合「BA.5系統」、変異なしあるいはN:P151S変異がある場合は「BA.4系統」疑いと判定しています。また、「L452Q」の変異がある場合は「BA.2.12.1系統」疑いと判定し、S:L452M変異のPCR検査も開発が終わりVOC-LUMの対象系統のスクリーニングに対応しています。
・オミクロン株の亜系統「BA2.12.1系統」と「BA.5系統」「BA.1系統とBA.2系統の組換え体」の確認について(第3264報)
・オミクロンBA.2系統 PCR開始(2923報) ・オミクロン株 PCR検査開始(2705報) 【東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料】 ・(第90回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年6月23日)モニタリング項目の分析(令和4年6月16日公表) ・ 新型コロナ保健医療情報ポータル