当センターにおける新型コロナウイルスの検査体制について

 検査依頼と 検体搬入、検査結果の流れについて

管轄の保健所経由で医療機関から当所に患者検体が搬入されます。当センターにて新型コロナウイルス検査を実施し、検査結果は感染症対策課を通して保健所、医療機関に還元されます。

 

新型コロナ検体の搬入とBSL3実験室内での処理について

当センターに搬入された患者検体は密閉容器(バイオパウチ)に入れられたままパスボックス(検体、資材を安全に入れるための専用の小窓)からバイオセーフティレベル3(BSL3)実験室 に搬入されます。BSL3実験室の入口は前室を中に備える2重扉となっており、また前室および実験室内は陰圧に保たれているため室内の空気や病原体が外に漏れにくい仕組みになっています。

バイオセーフティーレベル3(BSL3)実験室で作業を行う職員は、ウイルスによる汚染を防ぐために、使い捨てのマスク、キャップ、ガウン、手袋を着用します。BSL3実験室から退出する時は、全ての着用物を専用の滅菌缶に入れ、高圧蒸気滅菌処理をして廃棄しています。

その上で、BSL3実験室内での検体を含むウイルスの取り扱いには、陰圧に設定された安全キャビネット内でのみ取り扱う事とするなど、何重にも渡る安全策を講じることでウイルス検体からの感染防止、汚染防止に努めています。

 

新型コロナウイルスの検査法について 

 新型コロナウイルスの検査については、世界的な大規模流行であるため、国内外を問わず検査機材や試薬、器具等の消耗品についても一時的に供給がストップするものや、検査需要を満たせなくなる資材が多く出てきました。そこで当所では、どの様な状況においても検査体制を維持できる様に複数の検査系統を用意することでその危険を分散しています。以下に当所が保持している3系統の検査法について説明します。 

検査法1:自動抽出機を使用した検査法

BSL3実験室での県逮捕前処理作業  防護服を着用した検査員がBSL実験室内の安全キャビネットの中で鼻咽頭拭い液等の検査検体の処理をします。安全キャビネット内で遺伝子抽出試薬の入った検査容器に検体を入れることにより不活化(ウイルスの感染力を無くす事)した後、パスボックス(検体、資材を出し入れするための2重扉構造の小窓)から検体を出し自動抽出機のある実験室に移します。

自動抽出機による遺伝子抽出

 BSL 3実験室で不活化処理された検体は、自動抽出機でウイルスの遺伝子を抽出します。工程の自動化により大量の検体の正確な処理が可能となりました。

リアルタイムPCR装置による検査

 抽出した遺伝子を検体としてリアルタイムPCR法による検査を行います。左に見えるのがリアルタイムPCR装置本体で、付属コンピューターの画面を通して命令を出し、検査結果を読み取ります。PCR法は様々な遺伝子の中から特定の配列を持った遺伝子を特異的に増幅することで様々な病原体の検索を行う技術です。リアルタイムPCR法はその中でも現在最も迅速に大量の検査を行うことのできる検査法として用いられています。

リアルタイムPCR検査結果イメージ図 リアルタイムPCR法によるコロナウイルス検査のイメージ画像です。検体中にコロナウイルスの遺伝子が含まれている場合には右のグラフが示すように検体中のウイルス遺伝子の増殖曲線が基準となる赤い横線を超えて上昇し陽性と判断されます。検体中にコロナウイルスが含まれていない場合には増幅が起こらず、増幅曲線が現れません。

  

検査法2:新型コロナウイルス専用検査検査キットを使用した検査法 

BSL3安全キャビネット内での作業 防護服を着用した検査員がBSL3実験室内の安全キャビネットの中で鼻咽頭拭い液や唾液などの検体の検体をそれぞれ希釈、遠沈等の処理を行い抽出用の材料とします。 

ヒートブロック加熱による不活化

上記の処理によって遺伝子抽出の準備ができた検体は、90度5分間の加熱により不活化を行い、安全にBSL3実験室の外へ持ち出せるようにします。

コロナ検査専用キットによる検査 コロナ検査専用キットでは遺伝子抽出工程を熱処理によって行うため、PCR装置内の温度を調整することで行うことが可能となりました。そのためBSL3検査室で不活化された検体は特別な抽出工程を行うことなくキットの検査試薬と混和してリアルタイムPCR装置に入れるだけで遺伝子検査を行うことが可能になり、検査時間も短縮されました。

検査法2コロナ検査専用キットによる検査まとめ

 

 検査法3:全自動遺伝子検査装置を使用した方法

検体番号の確認作業検体容器に書かれた情報と依頼書の情報を照合した後検体容器に順次検体番号シールを貼付します。自動検査装置用の容器で搬入された検体に限ってはBSL3実験室を経由しないので、検体番号の管理には注意が必要です
安全キャビネット内での作業  防護服を着用した検査員がBSL実験室内の安全キャビネットの中で鼻咽頭拭い液や唾液などの検体の検体をそれぞれ希釈、撹拌等の処理した後に自動検査装置の専用容器に規定量を分注します。専用容器内の専用試薬によりウイルスは不活化されます。 
検査装置に検体のカートリッジをセットする
15検体を収納できるカートリッジに検査容器を入れて検査装置にセットします。専用容器で搬入された検体はBSL3実験室を通らずに、このステップから検査開始となります。セットされた検体は順次カートリッジ毎に検査がスタートします。検体用カートリッジは一度に8個までセットが可能で、検査試薬も複数系統のカートリッジ方式になっているので、検査を止めることなく検体や試薬を補充する事が可能です。

自動検査装置の外観 1列目のカートリッジの検査工程が次のステップに進むと、次列のカートリッジの検査工程が自動的に始まります。この様に順次検査装置の中で検査工程毎に空きを作ることなく複数の検査工程が同時並行して行われることで検体を効率的に処理することが可能となっています。

全自動検査装置は検査結果の判定まで自動で行います。判定には検査が正しく行われたかどうかの判定と、検体中の新型コロナウイルス遺伝子の有無の判定の2種類があります。検査が何らかの原因で正しく行われなかったと判定された検体については他の検査法を用いて再検査を行います。

 

検査体制のまとめ

 以上3系統の検査法をフローチャートにまとめたものを下に示します。現在は、検査法3の全自動遺伝子検査装置を主に使用しています。しかし、検査判定不能とされた検体は検査法1か2の検査キットを使用して再検査を行っています。また、変異株検査においては検査法1で使用した自動核酸抽出機を使用して抽出した遺伝子を使用して行っていおり、それぞれの検査法の長所を生かした検査体制を構築しています。

当所の新型コロナウイルス検査のフローチャート

参考文献

健康安全研究センターにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査対応(2020年1月~5月) 研究年報 第71号(2020)
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