RSウイルス(respiratory syncytial virus)は多くは乳幼児期に感染し、急性呼吸器感染症の原因となるウイルスで、特徴的な病像は細気管支炎、肺炎などです。生後、1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%の人がRSウイルスに感染すると言われています。
感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによる飛沫感染と、ウイルスの付着した手指や物品等を介した接触感染が主体となります。
2021年には、新型コロナウイルス感染症の流行の中、RSウイルス感染症が過去6年間で最も大きな流行となりました。通常のRSウイルスの流行時期は秋から冬ですが、2021年は7月中旬(第27週)に流行のピークを迎えました。2022年においても夏季に小流行が見られましたが、今後、秋から冬にかけての動向にも注視する必要があります。
2018年から2022年までのRSウイルス感染症の定点医療機関当たり患者報告数
(2023年01月16日現在)(東京都感染症情報センターより)
RSウイルスはA型とB型に分けられ、1年ごとに交互に流行を引き起こすことが知られています。当研究科では、RSウイルスの遺伝子型別を行っており、今年はA型が多く検出されています。
2022年のRSウイルス検出状況(01月16日現在)
2022年に東京都で検出されたRSウイルスは、2021年検出株①と近縁な2022年検出株①および2018年に中国で検出された株(MN007035)と近縁な2022年検出株②の2系統でした。
RSウイルスA型の系統樹
赤字:2022年検出株 青字:2021年検出株 緑字:2020年検出株
2022年に検出されたRSウイルスB型は、昨年東京都で検出された株と近縁の株(2022年検出株①)でした。
RSウイルスB型の系統樹
赤字:2022年検出株 青字:2021年検出株 緑字:2020年検出株
最終更新日:2023年01月16日