手足口病は、幼児を中心に流行する発疹や発熱を伴うウイルス性感染症です。
通常は夏に流行する疾患ですが、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年以降は報告数が大幅に減少していました。しかし、今年は小児科定点医療機関から報告された第30週(7月25日から31日)に患者報告数が都の警報基準を超えました。第40週(10月3日から10月9日)に警報解除となりました。
2021年及び2022年の手足口病定点医療機関当たり患者報告数(2023年1月16日現在) 東京都感染症情報センター 手足口病の流行状況よりウイルス研究科では、感染症法に基づく調査として感染症発生動向調査を実施しています。小児科定点医療機関(病原体定点)から搬入された手足口病の患者検体から遺伝子検査を実施し、原因ウイルスの解析を行なっています。
手足口病は、主にエンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA6型(以下CA6)やコクサッキーウイルスA16型(以下CA16)、エンテロウイルス71型(以下EV71)が原因で、流行する型は年によって異なります。
※特にEV71による手足口病の流行時は、中枢神経系合併症の発生頻度が高く、国内でも死亡例が報告されています1),2)。
2022年(2023年1月16日現在)手足口病と診断され、当センターに搬入された臨床検体は48件であり、その内CA6が29件、CA16が5件検出されています(EV71の検出数:0件)。
検出されたウイルスの遺伝子解析(系統樹解析)を実施しています。現在検出されているCA6及びCA16は、過去に検出された株や隣県で検出された株と近縁の株です。
〈リンク集〉
国立感染症研究所 手足口病とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/441-hfmd.html
東京都感染症情報センター 手足口病
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/handfootmouth/東京都微生物検査情報 2018年第39巻第6号
手足口病患者から検出されたエンテロウイルスについて(2014~2017年度)
〈参考文献〉
IASR Vol.19 No.3 March 1998 IASR Vol.22 No.6 June 2001