児童が栽培したジャガイモで食中毒

 平成18年7月、都内の小学校で、理科の実習用に校内で栽培したジャガイモを、調理員が皮付きのまま茹で、それを食べた132人のうち児童75人と教師2人が、腹痛、吐き気、喉の痛み等の症状の食中毒を起こしました。

 小学校に残っていた茹ジャガイモ2個と、参考品として同一の畑に残っていた生のジャガイモ2個を、東京都健康安全研究センター食品化学部食品成分研究科で検査したところ、ジャガイモの皮や芽に多く含まれるソラニン類が高濃度に検出され、これが原因であることが分かりました。

 

【食品成分研究科における分析結果】

(1)

残品 約12gの茹ジャガイモ

1,200μg/g(ソラニン類として)

(2) 残品 約20gの茹ジャガイモ 210 μg/g(ソラニン類として)
(3) 参考品 約13gの生ジャガイモ 660 μg/g(ソラニン類として)
(4) 参考品 約22gの生ジャガイモ 230 μg/g(ソラニン類として)

 

 

写真  下: 残品【左 (1) (2) 】   上: 参考品【左 (3) (4)

 


 

【ソラニン類】

 

 ソラニン類はナス科の植物に含まれていますが、ソラニン中毒を起こすのはジャガイモがほとんどです。

 ジャガイモのソラニン類は主としてα-ソラニン(図1 中薬大辞典 別巻)とα-チャコニンです。

 ジャガイモの皮(特に緑化した部分)や芽の部分に多量に含まれています。

 特に未成熟のジャガイモにはソラニン類が多く含まれていると言われており、皮を取り除かないまま、食べると食中毒を起こすことがあります。

 ソラニン類を大人が200mg〜400mg摂取すると発症するとされていますが、子供の場合は、過去の事例から、それより少量(大人の1/10程度)で発症すると考えられています。

 1998年から2006年までの8年間に、児童たちが栽培したジャガイモによる食中毒は全国の小学校で8件、幼稚園で1件起きています。なお、この期間に市販のジャガイモによる食中毒は報告されていません。

 

 

図1 α−ソラニン

 

【症状

 喫食直後から20分程で、腹痛、吐き気、おう吐、下痢、疲労感、めまい、喉の痛みなどの症状を呈します。

 

【予防法】 

 学校菜園や家庭菜園で栽培したジャガイモについては、特に次のことに注意が必要です。

  

(1)未成熟の小型ジャガイモはソラニン類の含有量が多いため、摂食はさけましょう。
(2)収穫後のジャガイモは冷暗所に保管し、日光が当たらないようにしましょう。
(3)芽や皮はあらかじめ取り除き、調理しましょう。特に、緑化した部分は厚くむきとりましょう。

 

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