Q&A 1 空調管理

(1) ホルムアルデヒドの測定が必要な大規模の修繕・大規模の模様替えについて

Q:建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕、又は同第15号に規定する大規模の模様替えを行ったときは、ホルムアルデヒドの測定が必要、とありますが、どの程度の規模の工事を指すのでしょうか。
A:建築基準法では、大規模の修繕とは、建築物の主要構造部の1種以上について行う過半の修繕(模様替え)と定義されています。大規模の修繕や大規模の模様替えを行った場合、使用開始以後、最初に到来する6月1日から9月30日までの間に1回、修繕等を行った階の居室において測定を行うことが規定されています。大規模の修繕もしくは大規模の模様替えに該当する場合は、建築確認申請が必要になりますので、ご計画の際は建築確認検査機関等にご相談ください。
また、建築物衛生法に規定するホルムアルデヒドの測定は壁紙や什器類からの放散も想定されて規定されています。テナントの入退去等に伴う小規模の模様替えの際にも、状況確認を目的とした測定を行うことが望まれます。

(2) 新規竣工時や大規模の修繕後の空気環境測定の実施について

Q:建築物衛生法施行規則では、2月以内ごとに1回の空気環境測定が規定されていますが、新規竣工したビルや大規模の修繕後のビルについては、1年間は毎月測定を実施しなければならないのでしょうか。
A:新規竣工後や大規模の修繕後の空気環境測定の毎月の実施は、建築物衛生法上規定されていません。しかし、空調設備の不具合や施工不良の早期発見、年間を通じた空調設備の調整状況の的確な把握を目的として、1年間毎月測定を実施するよう努めてください。

(3) 二酸化炭素濃度が管理基準に不適合となった場合の原因究明について

Q:二酸化炭素濃度が管理基準値を超えて不適合となる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
A:次のような原因が考えられます。
  1. 空調機が停止している。(個別空調の場合に多い)
  2. 空調機の能力に対し、在室人員が過剰である。
  3. ショートサーキット等により、新鮮な外気が空調機に取り入れられていない。
  4. 空調機のフィルタの目詰まりが著しい。
  5. 空調機の給気、排気、還気の各ダンパの開度調節が不良である。
  6. VAV制御を有している空調機について、最小風量時の必要外気量が確保されていない。
  7. 二酸化炭素濃度センサーにより運転制御をしている空調機のセンサー整備が不良である。
  8. 全熱交換器について、送風機の整備不良等により外気に排気が混入している。

 東京における外気の二酸化炭素濃度は400 ppmを超過することが多く、場所によっては500 ppm位の所で外気を取り入れるビルもあります。過去の設計では外気導入量が不足することも考えられます。

(4) 個別空調設備の月例点検について

Q:天井埋設型個別空調設備が多数あり、全ての空調設備の排水受け、加湿装置を毎月点検することが困難な場合はどうすればよいでしょうか。
A:同一の設置環境下にある空気調和設備をグループ化し、各グループの代表設備を決め、各階毎にその代表設備を月1回目視により点検し、その他については給気の異臭の有無等の確認により状況を判断する等の方法が厚生労働省から示されています。(平成27年3月31日健衛発0331第9号厚生労働省生活衛生課長通知)

(5) 蒸気式加湿装置の清掃方法について

Q:加湿装置の清掃を1年以内に1回実施することとなっていますが、蒸気式加湿装置の場合にはどのような清掃が必要でしょうか。
A:ボイラから供給される高圧蒸気等を直接噴霧する場合、噴霧管などのスケール除去を実施するよう指導しています。電極や電熱ヒータ等を利用して水槽内の水から蒸気を発生させる方式では、構造による制約もありますが、蒸発槽を取り外し、槽内の水を捨て、内部に清水を流し込んで洗浄するよう指導しています。
また、加湿水の給水口のストレーナについても、目詰まりを防ぐため異物やスケールを除去する必要があります。

(6) 一次蒸気を直接加湿に使用する場合について

Q:地域冷暖房(DHC)から供給される蒸気を直接、加湿蒸気として使用していますが、問題はないでしょうか。
A:蒸気ボイラで生じた蒸気(一次蒸気)の中には清缶剤などの添加剤が含まれていることがありますが、直接加湿蒸気として室内に噴霧することの安全性は確認されていません。地域冷暖房(DHC)から供給される蒸気についても同様の考え方です。
現在すでに一次蒸気を加湿蒸気として使用しているビルに対しては、熱交換器を介して水道水を蒸気化した二次蒸気を加湿蒸気とするよう助言しています。

(7) 冷却塔を通年で使用している場合の冷却水管清掃について

Q:電算機室用や冷蔵庫用の冷却塔を通年運転しており、冷却水管清掃のために停止することができない場合、定期清掃は実施しなくてよいでしょうか。A:上記の用途の冷却塔であっても、定期清掃をしなくて良いという例外規定はありません。臨時での冷房設備の設置や負荷の少ない冬期に対応する等の工夫をしながら実施してください。
なお、清掃方法についての具体的な規定はありませんので、厚生労働省が示している「建築物における維持管理マニュアル」等を参考に効果的、効率的な清掃方法を選択してください。
また、冷却塔を運転しながら洗浄可能な薬剤もあるようですが、はく離した汚れの除去や洗浄後のすすぎに注意が必要です。

(8) テナントや地域冷暖房(DHC)事業者が設置した冷却塔の管理について

Q:特定のテナント専用の冷却塔や、屋上の一部区画に設置された地域冷暖房(DHC)用の冷却塔についても、維持管理権原者が管理しなくてはならないでしょうか。
A:冷却塔及び冷却水管の管理・清掃は、レジオネラ症やその他病原体による疾病の発生防止の観点から規定されたものです。設置者、管理者が異なるという理由でこれらの管理が必要なくなるものではありません。また、その用途も空調用に限定されるものではありません。
維持管理権原者が直接管理していない場合には、「冷却塔、冷却水管の清掃を、1年以内ごとに1回、定期に実施し、使用月ごとに冷却塔を点検、管理」するようテナントあるいはDHC管理者に求めるとともに、その状況把握に努めてください。
都心のビルでは、他のビルで使用する冷却塔や地下鉄ホームの空調用の冷却塔が屋上にある場合などもあります。DHC用と同様に管理状況の把握に努めてください。

(9) 冷却塔・加湿装置への補給水の維持管理について

Q:水道水を原水とした補給水槽から冷却塔および加湿装置へ補給する場合、どのような維持管理が必要でしょうか。
A:法令等に具体的な規定はありませんが、補給水の水質を水道法水質基準に適合させるためには、飲料水設備に準じた貯水槽清掃や水質検査等の管理が必要と考えられます。貯水槽は告示型か非告示型か、使用水量から推定される回転数はどの程度か等、使用実態に合わせた方法で管理を実施してください。
維持管理方法の一例として、以下の内容を提案しますので、参考としてください。

(10) 冷却塔及び加湿装置に水道水以外の水を使用している場合の管理について

Q:冷却塔及び加湿装置に水道水以外の水を使用している場合、どのような水質管理が必要となりますか。
A:冷却塔および加湿装置に供給する水は、省令により水道法第4条に規定する水質基準に適合することとされ、水道水を使用することを前提としています。
広域再生水、個別再生水、雨水等の雑用水を冷却塔補給水として使用することはできません。
平成15年の省令改正以前から井水を使用している場合は、早急に水道水に切り替えるよう指導しています。切り替えるまでの間、飲用水として井水を使用する際に省令で規定されている水質検査と維持管理を実施する必要があります。

(11) 冷却塔のレジオネラ属菌検査の実施について

Q:冷却塔の冷却水について、レジオネラ属菌の検査を実施しなければならないのでしょうか。
A:建築物衛生法に冷却水のレジオネラ属菌の検査を実施する規定はありませんが、厚生労働省の「建築物における維持管理マニュアル」に基づき管理を行い、冷却塔及び冷却水管の清掃や、日常の薬剤注入の効果を確認する目的で検査することは、より良い維持管理につながるため有効と考えられます。

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