研究年報 第54号(2003) 和文要旨

*記載内容

 

タイトル
和文要旨
キーワード

 

総説

アニサキス症と天然物由来の有効化学物質の検索

 回虫の駆虫薬サントニン・カイニンサン,マラリアの治療薬キニーネ・アルテミシニン(中国名:青蒿素・チンハウスー)などは天然の植物に由来し,化学的に製剤化され今日広く使用されている.化学合成された駆虫薬も日本住血吸虫の治療薬プラジカンテル,マラリアの治療薬クロロキンなど優れたものも多いが,魚介類の生食によって感染するアニサキスに対する駆虫薬は未だ開発されていない.胃アニサキス症では内視鏡により虫体を摘出できるが,腸アニサキス症では外科手術を要する症例が多くある.1997年以来アニサキスを駆虫できる薬物を見出そうと,漢方・生薬およびスパイス類に狙いを絞って,190種類以上のスクリーニングを行った結果,ショウガ科クルクマ属の植物からアロタメロンという化合物が有望であることが分かってきた.これらのスクリーニングの手法について,経験に基づいて解説した.
アニサキス症,殺幼線虫化合物,天然生薬からの検索

  

ウイルス性食中毒
 ノロウイルスはウイルス性食中毒の最も重要な病原物質であり,1997年に食品衛生法の食中毒起因物質に追加された.感染経路として,ウイルスによる水環境の汚染を原因とする二枚貝へのウイルスの蓄積と,ウイルス感染した調理者を原因とする二系統が考えられている.近年は,食中毒原因食品に二枚貝が含まれず調理者による食品汚染を示唆する事例の増加が著しい.保育園,高齢者施設等における集団発生が多発傾向にあり,患者から排泄された糞便,吐物等の処理に際してウイルス汚染を広げないこと,ウイルス不活化を充分に行うことが重要と考えられた.

ウイルス性胃腸炎,集団発生,ノロウイルス

 

農産物中の残留農薬
 簡易で迅速な食品中の残留農薬試験法について検討した.これら試験法を用いて,種々の市販農産物中の農薬残留実態を調査したところ,有機リン系,ピレスロイド系など種々の農薬が検出された.果実に残留した農薬について,果皮及び果肉中の濃度を比較した.有機塩素系及び有機リン系農薬は,果肉への移行がほとんど見られなかった.果皮及び果肉の濃度比は,農薬の水への溶解度と密接な関係があった.原材料中の農薬は調理加工に伴い減少した.農薬が調理済み食品に残存する割合は,Kowと密接な関係が認められ,高い相関性が示唆された.

農産物,残留農薬,分析法,果皮,果肉,調理,オクタノール・水分配係数,回帰式

 

Ⅰ 感染症等に関する調査研究

クラミジアおよび淋菌感染症スクリーニング検査におけるプーリング法の検討

 多数の検体をプールして検査を行うプーリング法は,ウイルスの核酸増幅検査で良好な結果が得られ,迅速かつ経済効率的な方法として期待されている.そこで,性感染症検査で使用されているスワブ検体と尿検体を用いて,LCR法による淋菌とクラミジア核酸増幅のプーリング法を行い,その有用性を検討した.その結果,スワブ検体と尿検体とも良好な結果が得られたが,尿検体については尿中に存在する核酸増幅を阻害する物質の影響を受ける可能性がある.
性器クラミジア感染症,淋菌感染症,プーリング法,リガーゼ反応

  

東京都内で検出された麻疹ウイルスのNP遺伝子解析
 都内で流行している麻疹ウイルス遺伝子型の動向を調査することを目的に,2001から2002年度に当ウイルス研究科において検出された麻疹ウイルス53例のNP遺伝子型解析を行った.その結果,都内における麻疹ウイルス主流行株は,2001年度は日本固有のD5型であったが,2002年度の主な流行株は,これまで中国及び韓国での流行株であったH1型であることが明らかとなった.

麻疹,麻疹ウイルス,NP遺伝子

 

東京都内で発生したA型肝炎ウイルスによる食中毒2事例について
 感染経路が異なる二つのA型肝炎ウイルス(HAV)による集団食中毒事例を経験した.一つは,参考食品であるウチムラサキから検出された遺伝子(1A型,サブグループS2型)と発症者から検出された遺伝子(1A型,サブグループS2,S6a,S12型)によりウチムラサキが原因と推定された事例である.他の一つは,当該飲食店の従業員および患者から同一のHAV遺伝子が検出され,見かけ上はHAVに汚染された食品の喫食による集団感染と思われたが,HAVに感染していた調理従事者を介した感染事例と推定された事例である.

A型肝炎ウイルス,ウイルス性食中毒,遺伝子解析

 

ヒト糞便中の抗Norovirus-IgA検出のためのELISA法の検討
 ウイルス性胃腸炎の主なものはNorovirus(NV)に起因するものである.現在,NVによる集団胃腸炎の検査はPCR法がスクリーニング試験として用いられているが,大腸菌にNVの特異的な抗原を発現させることにより,糞便試料中の抗NV-IgA抗体を測定する系を開発した.PCR法と結果の比較を行うと,発症者の抗体産生時期などの要素から試料の質によって結果に差がみられた.しかしNVを検出する際,IgA-ELISA法はPCR法を補完する検査法の一つとなりうると思われた.

ノロウイルス,ウイルス性胃腸炎,集団胃腸炎,IgA抗体

 

2002年の感染症発生動向調査におけるQ熱疑い症例の検査結果について
 Q熱はリケッチア属のCoxiella burnetiiによる人獣共通感染症であり,全数報告が義務付けられる感染症法第四類に分類されている.2002年に感染症発生動向調査定点病院から臨床上Q熱が疑われる61例の血液検体が搬入された.検査受診者の男女比はやや女性比が高く,年齢別構成では21-40歳がほぼ半数を占めていた.臨床上,発熱を認めた例は52.5%であり,心内膜炎などの発症例はなく,約28%の症例はQ熱が心配で検査を希望する受診者であった.間接蛍光抗体法により抗体検査を実施した結果,抗体陽性例はなかったが,非特異的蛍光を発する症例が認められたため,酵素抗体法およびPCR法により再検査した結果,すべて陰性であることが判明した.

Q熱,抗体,PCR

   

Ⅱ 医薬品等に関する調査研究

フェネチルアミン系幻覚剤の合成と分析
 いわゆる「脱法ドラッグ」に用いられるフェネチルアミン系幻覚剤で最近,麻薬に指定された3,4,5-trimethoxyamphetamine及び4-bromo-2,5-dimethoxyphenethylamineと,これらの類似化合物で同様の幻覚作用がある2,4,5-trimethoxyamphetamine, 4-iodo-2,5-dimethoxyphenethylamine, 2,5-dimethoxy-4-ethylthiophenethylamine及び2,5-dimethoxy-4-propylthiophenethylamineの合成品を標準物質として分析法を検討した.薄層クロマトグラフィー,液体クロマトグラフィー及び質量分析による精確な確認試験及び6成分の同時定量試験法を確立できた.
脱法ドラッグ,フェネチルアミン,幻覚剤,分析,合成,高速液体クロマトグラフィー

 

動物由来医薬品の原料動物種識別法−胎盤由来製剤での検討−
 近年,牛海綿状脳症(BSE)の流行に伴いウシ由来の組織や臓器の医薬品への使用は規制がなされている.そのため動物由来医薬品に用いられている原料動物種を,製品より識別する方法の確立を目的として検討を行った.胎盤由来製剤より抽出したDNAを用い,ポリメラーゼ連鎖反応・制限酵素処理断片電気泳動法により動物種の判定を行った.その結果,成分として胎盤加水分解物,胎盤乾燥微粉末を表示する錠剤および顆粒剤について,原料はヒト由来であるとの同定が行えた.
ポリメラーゼ連鎖反応, 制限酵素処理断片電気泳動法,種識別, 動物由来医薬品, 胎盤, チトクロムb遺伝子

 

資源の枯渇が懸念される漢方薬原料植物(オオツヅラフジ)の国内栽培に関する研究
 資源の枯渇が懸念される漢方薬原料植物オオツヅラフジ(生薬名:防已,薬用部分:蔓性の茎及び根茎)の国内栽培化を図るため,圃場で挿し木苗を3年間栽培し,生育特性調査,栽培に最適な光条件の検討,薬用部分について有効成分シノメニンの含量分析を行った.この結果,野生種は林内,林縁に生育しているが,栽培には陰地にこだわることなく畑地で栽培でき,定植3年目にはシノメニンの含量が市場品・野生品と遜色のないものが収穫できることが明らかとなり,生産栽培の可能性が示唆された.
オオツヅラフジ,栽培,登攀茎,匍匐茎,シノメニン

  

園芸種オニゲシ類の鑑別と含有される麻薬成分に関する研究(第2報)
 ハカマオニゲシにおけるテバイン含量の全期間平均値は株分け株0.14%,実生株0.17%であった.実生株中で形態が標準に合致する株のテバイン含量は0.22%,合致しない株では0.13%であった.また,テバイン含量の変化に一定の傾向は認められないが,全期間を通じてテバインの検出は可能である.オリエンタルポピーでは購入した11種のうち9種でテバインが検出された.含有量には差があり,最も多い2種ではハカマオニゲシと同程度の含有量であった.形態的な特徴と含量の関連性は認められなかった.

ハカマオニゲシ,プソイドオリエンターレ,オニゲシ,テバイン,イソテバイン,定量,高速液体クロマトグラフィー,成長に伴う含量変化

 

健康被害を起こした中国製ダイエット健康食品における検査結果
 平成14年7月,中国製ダイエット用健康食品により肝臓障害を起こして死に至るという事件が起こった.これらの健康食品にはN-ニトロソフェンフルラミン,フェンフルラミン及び甲状腺末等の医薬品が含有されていたが,同様の成分が含まれる健康食品の銘柄は50数種に及んだ。著者らは,これらの関連製品をTLC,LC及びGC/MS法を用いて検査した結果,ほとんどの製品から上記3種の医薬品成分を検出した他,製品の不統一性,製品の再加工等の特徴を認めた.また,N-ニトロソフェンフルラミンは光に不安定であることがわかった.
ダイエット,健康食品,中国製,フェンフルラミン,N-ニトロソフェンフルラミン,乾燥甲状腺末

 

固相抽出法を用いた健康食品中の甲状腺ホルモンの分析
 健康食品中の甲状腺ホルモンである3,4,3’-トリヨード-L-チロニン(T3)及びL-チロキシン(T4)の固相抽出カートリッジを使用した分析法を検討した.T3,T4をカートリッジに負荷後,1mol/L酢酸3mLで中和,40%メタノール3mLで洗浄した.メタノール2mLで溶出後,HPLC/MSで測定した.本法のCVは5%以内で良好であった.また,このHPLC/MS溶液は24時間後95%であり,酢酸エチル抽出法の50%に比べ,安定であった.本法は,迅速かつ高いクリーンアップ効果を示し,HPLC/MSを用いて数多くの試料を分析する際に,有用な方法である.
甲状腺ホルモン,トリヨードチロニン(T3),チロキシン(T4),固相抽出,HLBカートリッジ,健康食品,高速液体クロマトグラフィー/質量分析計

 

健康食品中に混入された甲状腺組織末の光学顕微鏡による観察
 健康食品などの粉末状試料に混入された甲状腺組織を確認する目的で,粉末状の試料について組織標本の作製法を検討し,光学顕微鏡による観察を行った.観察用の標本として塗抹標本とパラフィン包埋切片を作製,he染色後,甲状腺組織を観察した.塗抹標本では試料に厚みがあるため甲状腺特有のろ胞構造を明瞭に確認することはやや困難であった.4〜10µmの厚さのパラフィン切片では組織の状態が良好に保たれていなくても,ろ胞構造が明らかに認められ,また混在する組織片が小さくても甲状腺組織の一部であることを確認することが可能であった.
健康食品,甲状腺末,塗抹標本,パラフィン包埋標本

 

TLC法及びHPLC法による,いわゆる健康食品に含有されるアロエ種の判別
 アロエ属植物は,医薬品・民間薬の他,食品にも用いられている.しかし,その種によりその葉汁及び葉汁を含む葉外皮を食品として使用することは禁じられているため,食品の原料として使用されているアロエ種を判別する必要がある.そこで,葉汁などの食品利用が禁止されている,Aloe vera,A. ferox,及び A. africana及び全葉を食品として利用することができるA. arborescensの4種についてTLC法及びHPLC法を用いた判別法を検討し,本法をいわゆる健康食品に応用したところ,有用性を認めたので報告する.
アロエ,TLC,HPLC,アロエベラ,アロエフェロックス,アロエアフリカーナ,キダチアロエ,健康食品

 

毒劇物による事故の対処法(第2報)
 警棒型自己防衛器からオルトクロロベンジリデンマロノニトリル(医薬用外劇物)を検出した.また吸引性脱法ドラッグからクロルエチル(医薬用外劇物)を検出した.川に魚が浮いた事故に対し,原因がめっき工場からのシアン流出であることを確認した.毒物劇物による事故が発生した場合,被害を最小限にくいとめるには原因物質の確認が急がれる.上記の試験を迅速に行った結果,健康被害を未然に防ぎ,環境被害を最小限に抑えた.
毒物及び劇物取締法,毒物による事故,催涙薬,暴動規制薬,自己防衛器,オルトクロロベンジリデンマロノニトリル,脱法ドラッグ,クロルエチル,シアン化合物

 

Ⅲ 食品等に関する調査研究

固相抽出を用いたHPLCによる食品中のグリチルリチン酸,ステビオシド及びレバウディオシドAの同時分析法
 3種の天然甘味料(グリチルリチン酸(GA),ステビオシド(Stev)及びレバウディオシドA(Reb. A))の同時分析法を確立した.3種甘味料はメタノールーアンモニア水(40:60)混液で同時抽出し,C18固相抽出カートリッジでクリーンアップを行った後,NH2カラムによるHPLCで同時分析した(検出波長:GA 254nm,Stev及びReb. A 210nm).添加回収試験では,3種甘味料はいずれも回収率(80%以上)及びCV値(5%以下)も良好であった.本法を用いて甘草及びステビア両添加表示のある市販16食品について調査を行った.
天然甘味料,甘草,グリチルリチン酸,ステビオシド,レバウディオシドA,固相抽出,高速液体クロマトグラフィー

 

食用油脂中のチオジプロピオン酸の分析法
 食用油脂中からの指定外酸化防止剤であるチオジプロピオン酸の分析法について検討した.食用油脂からの抽出には液液分配法を用いて試験溶液を調製したが,ゴマ油やラー油などの一部の油脂については,さらに陰イオン型カートリッジで精製を行った.HPLCによる定性及び定量はカラムにODSを用い,イオン抑制法で夾雑物を分離し,検出はUV 210nmで行った.確認はチオジプロピオン酸をメチル化したのち,GC/MSを行い,標準品のスペクトルと比較した.本法を各種食用油脂に適用したときの回収率は92%以上であり,定量限界は試料濃度として,0.005g/kgであった.
チオジプロピオン酸,食用油脂,酸化防止剤,シネルギスト

 

透析法を応用した食品中の保存料の一斉分析
 未許可添加物パラオキシ安息香酸メチル及びサリチル酸を含む10種の保存料の一斉分析法を開発した.本法は抽出に80%メタノールを用いた透析法により,水蒸気蒸留法での脂質含有食品におけるパラオキシ安息香酸エステル類の低回収率を解決した点で有用であった.また,発酵食品等ではさらに,カートリッジカラムによるクリーンアップを行うことにより,一般的なHPLC条件での分析が可能となった.添加回収率は71.8~109%であり,定量限界は10µg/gであった.本法は簡便であることから多数の試料を一括処理するのに適している.

保存料,安息香酸,ソルビン酸,デヒドロ酢酸,サリチル酸,パラオキシ安息香酸エステル類,透析,高速液体クロマトグラフィー

 

健康食品に含まれる ginkgolic acidsの分析
 イチョウ葉を素材とした健康食品は,日本では脳循環や代謝改善が期待され,広く流通している.Ginkgolic acids(GA)は,イチョウ種皮や葉に含まれる脂溶性の化合物でアレルギー作用があるといわれ,ドイツやフランスではこれを除去したイチョウ葉エキスが医薬品として用いられている.特にドイツでは,イチョウ葉エキス中のGA含量を5ppm以下とする基準(ドイツ医薬品規格)を設定して品質の確保に努めている.GAの測定にはHPLC-MSを用いた分析方法が報告されているが,MSを用いた分析は,機器が高額であること,機器の維持管理が煩雑であるなど,日常の分析には難しいとの指摘もある.このような現状を踏まえ,GAを感度良く,しかも低コストで分析できる方法を開発する必要があると考え,GA1~5の5種類の化合物を植物から単離し,更にGAの光学的性質を利用した蛍光検出器付きHPLC(HPLC-FL)による分析方法を開発した.また本法を用いて市販製品のGA分析を試み,健康食品に含有されるGAについて考察した.
イチョウ,ギンコール酸,イチョウ葉,イチョウ葉エキス,蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ,健康食品

 

GC/MSによる食品中のスチレンダイマー及びトリマーの分析法
 各種食品に対応できるスチレンダイマー及びトリマーの分析法を検討した.試料をアセトン抽出後,ヘキサン転溶,脱脂,フロリジルカラムによる精製後,SIMモードのGC/MSで分析を行った.これまでの分析対象とされていなかった化合物も含めて,10種の化合物の分析が行えるようになった.本法による25ng/g添加時の回収率はおおむね70%以上と良好な結果が得られた.定量限界は5ng/gであった.
スチレンダイマー,スチレントリマー,食品,ガスクロマトグラフ質量分析計

 

食品用プラスチック製品に含有される酸化防止剤の分析法
 食品用プラスチック製品に含有される酸化防止剤10種類の分析法を検討した.試料中の酸化防止剤に対して10倍量以上のdl-α-トコフェロ−ルを加えることにより,減圧濃縮の過程で生じる酸化防止剤の分解を抑制することが出来た.本法による定量限界は10種類の酸化防止剤において2µg/gであり,ポリエチレン製品に添加したときの回収率はいずれの酸化防止剤も90%以上を示した.
酸化防止剤,dl-α-トコフェロ−ル,プラスチック製品,分解

 

デュアルカラムGC-ECDによる食品中の有機塩素系農薬及びピレスロイド系農薬の一斉分析
 デュアルカラムGC-ECDを用いた塩素系農薬32種,ピレスロイド系農薬11種,及びその他の農薬3種について,食品中の残留農薬一斉分析についての検討を行った.農薬の抽出にはアセトン:n-ヘキサン(2:3)混液を用い,さらに酢酸エチル:n-ヘキサン(1:4)混液で抽出を行った.抽出溶液は,フロリジルミニカラムにより精製され,2つの画分に分けられた.第1画分はジエチルエーテル:n-ヘキサン(3:2)混液15mLで,第2画分はアセトン:n-ヘキサン(1:9)混液10mLで溶出された.溶出液は,デュアルカラムECD検出器を装着したデュアルカラムGCに注入した.46農薬についての添加回収試験は,イチゴ,トマト及びカボチャにおいて行い,その回収率は70~120%であった.この方法は,食品中の残留農薬の一斉分析について有効な方法であると考えられた.
残留農薬,一斉分析,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬,デュアルカラム,固相抽出,電子捕獲検出器付ガスクロマトグラフィー,青果物

 

多摩地域産きゅうりにおけるディルドリン検出に関する事例研究

 平成13年6月に地場産きゅうり1試料から残留基準値を超えるディルドリンが検出された.そこで,健康局食品医薬品安全部食品監視課,当所広域監視課,産業労働局等と連携して土壌等の調査を行った結果,土壌由来であることが判明した.14年7月に当該圃場周辺の圃場で生産されたきゅうりを調査した結果,29試料中2試料でディルドリンまたはエンドリンが残留基準値を超えて検出された.そのため,産業労働局は都内全域できゅうり及び生産土壌を調査し,ドリン剤検出圃場について作付け指導等を行った.

きゅうり,残留農薬,ディルドリン,エンドリン,多摩地域

 

大豆加工食品からの組換え遺伝子検知法の検討
 大豆加工食品9種(煮豆,きな粉,豆腐,生揚げ,油揚げ,納豆,みそ,調製豆乳及び干し湯葉)から感度良く組換え遺伝子を検知するためにDNAの抽出法とプライマーの検討を行った.CTAB法,PK法及びCTAB-PK法でDNAの抽出を行い,PCR法で組換え遺伝子の検知を行った.プライマーには増幅長が180bpのプライマーCTPn-5′とEPSPSn-3′の組み合わせ並びに増幅長が513bpのCTPn-5′とEPSP01-3′ の組み合わせを用いて比較した.その結果,日常検査においてはCTAB-PK法でDNAを抽出し,プライマーCTPn-5′とEPSPSn-3′の組み合わせで組換え遺伝子の検知を行う方法が推奨された.
組換え遺伝子,抽出法,CTAB法,大豆,加工食品,豆腐

 

食肉中に残留するアミノグリコシド系抗生物質の微生物学的検査法
 食肉中に残留するアミノグリコシド系(AGs)抗生物質の微生物学的検査法について検討した.現在,残留抗生物質検査法として使用されている分別推定法はAGs抗生物質に対する検出感度が不足しており,今回設定されたゲンタマイシン等の残留基準値が検出できないために試験操作の一部改良を試みた.C18カラムからの流出液のpHを7.0に変えてからCOOHカラムに負荷することとし,COOHカラムからの溶出方法についても改良を行った.その結果,今回の改良法によりゲンタマイシン,ネオマイシンの残留基準値検出が可能であった.ストレプトマイシン,ジヒドロストレプトマイシンはCodex MRLの検出が可能であり,カナマイシンについては0.1µg/gの検出が可能であった.
アミノグリコシド系抗生物質,食肉,微生物学的検査法,分別推定法

 

輸入食品中の放射能濃度(第12報) −平成14年度−
 チェルノブイリ原発事故に由来する放射能汚染食品の実態を明らかにするため,平成14年4月から平成15年3月までに都内で流通していた輸入食品等255試料について放射能汚染実態を調査した.その結果,キノコ4試料(全試料に対する検出率:1.6%)が50Bq/kgを超え,そのうちフランス産生鮮ピエ・ド・ムトン(カノシタ)から放射能濃度が暫定限度値370Bq/kgを超えて590Bq/kg検出された.その他フランス産生鮮シャンテレル(アンズタケの一種),イタリア産乾燥ポルチーニ(ヤマドリタケ)及びブルガリア産生鮮シャンテレルからそれぞれ240,214及び210Bq/kg検出された.
チェルノブイリ原発事故,放射能汚染,輸入食品,調査,セシウム,キノコ,ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器

 

都内搬入米におけるカドミウム,銅,ヒ素の含有量について(第3報) −1999年から2002年までの試験成績の概要−
 1999年度から02年度までの都内搬入米(804検体)のカドミウム濃度は,平均値0.07ppm(範囲0.00−1.26ppm),濃度の度数分布率は,0.1ppm以上が21.1%,0.2ppm以上が4.1%,0.3ppm以上が0.7%,0.4ppm以上が0.2%であった.東京都の米中カドミウムの基準(0.4ppm未満)に不適合は3検体,食品衛生法に基づく基準(1.0ppm未満)に不適合は1検体であった.銅濃度の平均値は2.34ppm(範囲0.62−4.30ppm),ヒ素濃度の平均値は0.17ppm(範囲0.02−0.62ppm)であった.
米,汚染,カドミウム,銅,ヒ素,許容基準,濃度分布,農用地汚染

 

国産及び輸入チーズ中の保存料の実態調査結果
 1998~2003年の間に東京都内で販売されていた国産及び輸入チーズ475検体について,保存料の実態調査を行った.使用が認められている添加物のうち,ソルビン酸が7検体から0.01~1.70g/kgの範囲で,デヒドロ酢酸が1検体から0.07g/kg,プロピオン酸が39検体から0.1~5.0g/kgの範囲で検出された.ソルビン酸及びデヒドロ酢酸の検出量は,いずれも基準値以内であったが,使用表示がないものが3検体あった.また,使用が認められていない添加物のうち,安息香酸が212検体から1~65mg/kgの範囲で,ナタマイシンが8検体から2.1~9.5mg/kgの範囲で検出された.今回,検出されたプロピオン酸及び安息香酸は,チーズの熟成中に生成された天然成分である可能性が考えられた.

チーズ,保存料,ソルビン酸,デヒドロ酢酸,プロピオン酸,安息香酸,ナタマイシン

 

輸入ウナギ蒲焼きから検出されたニューキノロン系合成抗菌剤について
 平成13年度,輸入ウナギ蒲焼き12検体について動物用抗菌剤の調査を行った結果,1検体から食品衛生法で残留基準値が設定されていないエンロフロキサシン0.11ppmを検出した.今回の検出事例は,微生物学的試験でスクリーニングを行い,抗菌性物質が検出されたことから化学試験を実施し,HPLC及びLC/MSでエンロフロキサシンの確認ならびに定量を行った.畜水産物中の抗菌性物質検査では,微生物学的試験と理化学的試験を組み合わせて実施することにより,迅速且つ効率的な試験が行えると考える.
合成抗菌剤,ウナギ蒲焼き,エンロフロキサシン

 

生乳中の残留有機塩素系農薬の年次推移 (1983−2002年度)
 1983~2002年度の20年間の都内乳処理工場より収去された生乳405試料の有機塩素系農薬の分析データをまとめ,解析した.暫定許容基準値を超えるものはなかったが,1980年代では,BHC,DDTの検出率は約70%であった.1990年代初頭以降,有機塩素系農薬の検出値,検出率は減少したが,DDTは10%前後の検出率で推移した.検出値の産地別年次推移では,東京都及び近県の千葉県,埼玉県,群馬県,栃木県のそれぞれの産地でほぼ同様の減少傾向を示した.
生乳,有機塩素系農薬,残留農薬

 

食肉及び鶏卵中の残留有機塩素系農薬の実態調査
 豚肉,鶏肉及び鶏卵中の有機塩素系農薬の残留実態調査を実施した.豚肉20検体中15検体から,鶏肉20検体中18検体から,鶏卵30検体中23検体からp,p’-DDE,p,p’-DDT及びディルドリンが検出された.特にp,p’-DDEは検出率が高く,検出濃度は豚肉が0.001~0.006ppm(脂肪中),鶏肉が0.001~0.012ppm(脂肪中),鶏卵が0.0002~0.0012ppm(全卵中)で低濃度の残留が認められた.食品衛生法の暫定的基準を超えた検体はなかったが,本調査で分析した農薬は内分泌かく乱化学物質の疑いがあるため今後も実態調査の継続が必要である.

有機塩素系農薬,残留,食肉,豚肉,鶏肉,鶏卵,内分泌かく乱化学物質,ゲル浸透クロマトグラフ,ガスクロマトグラフ/質量分析計,選択イオン検出

 

既存添加物及び健康食品素材中の臭素量実態調査
 健康食品として用いられることの多い既存添加物及び健康食品素材計129試料について臭素量の実態調査を行った.臭素の測定は,ガスクロマトグラフ(ECD)で行った.その結果,総臭素は129試料中79試料から1µg/g以上検出された.特に,レイシ抽出物やラカンカ抽出物からはそれぞれ680及び570µg/gと高濃度であった.そこで,レイシ抽出物については臭素の残留原因を追跡調査した.その結果,水系溶媒で製造される既存添加物に臭素の検出率が高いことが判明した.
臭素,既存添加物,健康食品素材,ガスクロマトグラフィー(ECD)

  

天然添加物中の残留農薬への迅速分析法の適用
 厚生省通知による残留農薬迅速分析法を既存添加物27種類85検体中の有機塩素系農薬11種類の分析に適用した.また,既存添加物10種類37検体について有機リン系農薬12種類の分析にも適用を試みた.油分含量の多い試料については迅速分析法にアセトニトリルーヘキサン抽出を追加して行った.レイシ抽出物及びニンニク抽出物では測定対象にした総ての有機塩素系農薬が共存物質のため分析不能であった.調査した農薬は既存添加物から検出されず定量限界以下であった.
天然添加物,残留農薬,有機塩素系農薬,有機リン系農薬,残留農薬迅速分析法

 

輸入農産物中の残留農薬実態調査(有機リン系及び含窒素系農薬) −平成14年度−
 2002年4月から2003年3月に都内の市場等で購入した輸入生鮮農産物等279作物について,有機リン系農薬及び含窒素系農薬の残留実態調査を行った.その結果,24種の作物から有機リン系農薬19種類が22作物から痕跡~2.5ppmの範囲で,また含窒素系農薬3種類が3作物から0.04~0.13ppmの範囲でそれぞれ検出された.このうちクロルピリホスが中国産ほうれんそう3作物から食品衛生法残留基準値を超えて検出された.
残留農薬,輸入農産物,有機リン系農薬,含窒素系農薬,収穫後使用

 

輸入農産物中の残留農薬実態調査 (有機塩素系農薬,N-メチルカーバメイト系農薬及びその他) −平成14年度−
 平成14年4月から平成15年3月にかけて279の輸入農作物の残留農薬実態を調査した.有機塩素系農薬では,クロロフェナピル等4種類の殺虫剤及びキャプタン等4種類の殺菌剤が痕跡~2.9ppm検出された.カーバメイト系では,2種類の殺虫剤が0.03~0.10ppm検出された.ピレスロイド系では,7種類の殺虫剤が痕跡~0.67ppm検出された.その他の農薬では,1種類の殺虫剤,3種類の殺菌剤及び1種類の除草剤が0.01~4.7ppm検出された.検出された農薬の残留量は,日本及び原産国あるいはCODEXの残留基準値を超えるものはなかった.
残留農薬,輸入農産物,有機塩素系農薬,カーバメイト系農薬,ピレスロイド系農薬,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,収穫後使用

 

国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査−平成14年度−
 2002年4月から2003年3月までに都内に入荷した国内産の野菜類及び果実類26種106検体について残留農薬実態調査を行った.野菜類では有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カーバメイト系農薬,含窒素系農薬,ピレスロイド系農薬及びその他など10種類の農薬が10種13検体から痕跡~0.23ppm検出された(検出率:24%).有機農産物表示のばれいしょ1検体からホスチアゼートが食品衛生法における残留基準値を超えて検出された.果実類では29種類の農薬が7種28検体から痕跡~1.4ppm検出された(検出率:54%).残留基準値を超えた検体はなかった.
残留農薬,国内産農産物,野菜,果実,有機農産物,有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カーバメイト系農薬,含窒素系農薬,ピレスロイド系農薬

  

中国産冷凍野菜中の残留農薬調査
 中国産冷凍野菜中の残留農薬調査を行った.冷凍ほうれんそう17試料のうち14試料からクロルピリホス,メタミドホス,シペルメトリンなど10種類の農薬がTr(0.001)~0.31ppmの範囲で検出された.そのうち3試料から残留基準を超えるクロルピリホスが検出された.ほうれんそう以外の冷凍野菜については9種12試料のうち6試料からo,p’-DDT,マラチオン,ジメトエ−トなど13種の農薬が検出された.
残留農薬,中国産冷凍野菜,クロルピリホス

 

多摩地域産日本なし中の無登録農薬調査

 “無登録農薬”事件の関連で多摩地域産及び他府県産の日本なし計12試料についてカプタホ−ル及びシヘキサチンの残留実態調査を行った.それらの農薬は検出されなかったが,7試料からカルバリルやフェニトロチオンなどその他の農薬8種類が検出された.また,シヘキサチン及び酸化フェンブタスズの分析にアセトニトリル抽出/ミニカラム精製による方法を適用したところ良好な結果が得られた.

残留農薬,無登録農薬,カプタホ−ル,シヘキサチン

 

多摩地域産農産物中の残留農薬実態調査(平成13年度および14年度)
 多摩地域産及び他府県産農産物計159試料について,102農薬成分の残留実態調査を平成13年度及び14年度に食品指導センタ−多摩支所と連携して行った.平成13年度に多摩地域産きゅうり1試料からディルドンが残留基準値を超え0.06ppm検出された.また平成14年度には多摩地域産サニーレタス1試料からメソミルが登録保留基準値を超え0.93ppm検出された.これら以外では残留基準値等を超えるものはなかった.検出率を多摩地域産と他府県産で比較すると,多地域産の検出率の方が低く,この傾向は平成10年度~12年度の調査結果と同様であった.
残留農薬,多摩地域産農産物,有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬,含窒素系農薬

 

化学物質及び自然毒による食中毒等事件例(第20報) −平成14年−
 平成14年に発生し原因物質の究明を行った化学性食中毒等の事例のうち,①ぬれせんべいに付着,増殖した酵母が産生した酢酸エチルによる有症苦情.②ツブ貝のテトラミンによる有症苦情.③トリカブトの誤食による食中毒.④カジキマグロのムニエル,⑤アジの開き及び⑥シイラの照り焼きのヒスタミンによる食中毒及び有症苦情3例.⑦もつ焼きそばに混入した塩化ベンザルコニウムによる有症苦情.⑧ツキヨタケの誤食による有症苦情.⑨クワズイモの誤食による食中毒.以上9事例について報告した.
化学性食中毒,酢酸エチル,テトラミン,トリカブト属,ヒスタミン,塩化ベンザルコニウム,ツキヨタケ,クワズイモ

 

食品の苦情事例−平成14年度−
 平成14年度に食品研究科で検査した苦情事例の中から7事例について報告した.1) 食パンの中に混入していた褐色物質は,小麦粉であった.2) シーチキン缶詰から出てきたみみず様物質は,魚の血管であった.3) 「焼肉どんぶり」から出てきた物質は,紙の塊であった.4) すしから出てきたプラスチック様の薄片は,魚うろこであった.5) スティックシュガーに入っていた黒色物質は,袋のポリプロピレンが焦げたものであった.6) 「ねぎとろどん」から出てきた物質はガラスの破片であった.7) 「高菜おにぎり」から出てきたものは,魚の骨であった.
食品,苦情,異物,パン,でんぷん,血管,紙,うろこ,ガラス,骨

  

クロロフェノール類を異臭の原因物質とした甘納豆の苦情事例
 甘納豆に消毒臭がするとの苦情があり,原因物質の解明を行った.GC/MSを用いて分析した結果,2,4-ジクロロフェノール,2,6-ジクロロフェノール及び2,4,6-トリクロロフェノールが検出され,異臭の原因物質はクロロフェノール類であることが判明した.保健所の調査により,当該施設では蒸気配管補修工事が行われていたことがわかった.そこで,クロロフェノール類は工事後の洗浄,乾燥が不十分だったため,シール剤などからフェノール類が配管内に溶出し,蒸気中の残留塩素と反応して生成されたものと思われる.これが製造用釜の亀裂を通して,甘納豆を汚染したものと推定された.
甘納豆,苦情,クロロフェノール類

 

東京都多摩地域における食品の苦情事例(第2報)
 東京都多摩地域の保健所から持ち込まれる苦情検体の数は平成12年度に急激な増加をみせたが,平成13年度以降も高いレベルを維持している.その内容は相変わらず異物の苦情が多いが,食品の変色や変質に関する苦情も目立った.今回は平成13及び14年度に受け付けた苦情検体の中から「缶入りレモンティーの褐変」,「豚肉の着色」,「大判焼きの変色」及び「挽肉そぼろ中の金属片」の計4件を選び,その原因の解明と異物の同定に至る経過について報告した.
食品の苦情,異物,食品の変色,食品の変質,豚肉,大判焼,缶入り紅茶飲料,ハンダ,泡立て器,アミノカルボニル反応

 

ポリスチレン製カップ入り即席めんのスチレンダイマー及びトリマー量調査
 1999年市販のポリスチレン製カップ入り即席めん(30検体)のスチレンダイマー・トリマー量実態調査を行った.カップ含有量は平均でダイマー180µg/g,トリマー3200µg/gであった.めん及びスープ移行量は,平均でダイマー 0.9ng/g,トリマー22ng/gであった.異性体別では,トリマーの2.4.6-triphenyl-1-hexene及び4種のフェニルテトラリンが多く検出された.成型法別では低温重合成型法による製品の含有量及び移行量が少なかった.
スチレンダイマー,スチレントリマー,スチレンオリゴマー,ポリスチレン,容器,移行

 

食品用プラスチック製品中のノニルフェノール,オクチルフェノール含有量及びその溶出量
 環境ホルモン作用があることが確認されているノニルフェノール(NP)及びオクチルフェノール(OP)について,食品用プラスチック製品それぞれ267試料及び153試料中の含有量を測定した.その結果,OPの含有は認められなかったが,NPは28試料から検出され,含有量は2~750µg/gであった.また28試料の内,NPを最も溶出し易い食品疑似溶媒(n-ヘプタン)中へは6試料(PS 4,PMMA 1,PP 1)で溶出が認められた(5~650ng/cm2).また,20%エタノール中へは3試料(6~12ng/cm2),90°C水中へは1試料(6ng/cm2)で溶出が認められた.
ノニルフェノール,オクチルフェノール,プラスチック,含有量,溶出試験,食品

 

台所用品からのヒノキチオールの分析
 「抗菌加工」表示のあった市販台所用品及び浴用品について,ヒノキチオール含有量を水蒸気蒸留による抽出とHPLCによる測定を組み合わせた分析法を用いて,調査を実施した.台所用品14検体中2検体,浴用品17検体中1検体からヒノキチオールが1~10µg/g検出された.検出率は10%以下と極めて低く,使用されていても残留性は極めて低いものと考えられる.
ヒノキチオール,天然抗菌剤,台所用品,浴用品,水蒸気蒸留法,フォトダイオードアレイ検出器,高速液体クロマトグラフィー

 

Ⅳ 生活環境に関する調査研究

室内空気中化学物質の実態調査(可塑剤,殺虫剤及びビスフェノールA等) −平成13年度−
 東京都内の住宅,オフィスビルの室内空気及び外気について, 23種類の半揮発性有機化合物を測定した.その結果,室内空気中からフタル酸エステル類を含む可塑剤11種,有機リン系農薬2種,ペルメトリン,クロルデン類,フェノブカルブ,ビルフェノールA及びベンゾ(a)ピレンが検出された.室内で高頻度に検出された主な物質の最高濃度は,フタル酸ジ-n-ブチル4.3µg/m3,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル1.4µg/m3,trans-クロルデン9.6ng/m3,ビスフェノールA 8.1ng/m3,ベンゾ(a)ピレン3.1ng/m3であった.測定対象物質のうち,厚生労働省の室内濃度指針値が設けられている5物質については,指針値を超えるケースは無かった.
室内空気,外気,フタル酸エステル類,ビスフェノールA,ベンゾ(a)ピレン,有機塩素系殺虫剤,ペルメトリン,可塑剤,半揮発性有機化合物,内分泌かく乱化学物質

 

室内空気中化学物質の実態調査(ホルムアルデヒド及び揮発性有機化合物) −平成13年度−

 都内の住宅,オフィスビル及び周辺外気について,ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物,計9物質の空気中濃度を調査した.夏期及び冬期の調査結果から,ほとんどの物質は夏期の方が高濃度であった.最大値は,ホルムアルデヒド202µg/m3及びパラジクロロベンゼン2,260µg/m3で,指針値を超えていた.中には健康被害を訴える居住者がおり,その症状は,目や喉の痛み,頭痛などの他,咳や鼻水が出る,ジンマシンを発症するなど多様であった.調査した9物質は,症状の訴えがなかった住宅の方が,高濃度になるケースが多く見られた.

ホルムアルデヒド,揮発性有機化合物,パラジクロロベンゼン,室内空気,外気

 

加熱脱着法による室内空気中フタル酸エステル類,有機リン酸エステル類及び有機リン系殺虫剤の分析法
 少量の空気試料で測定でき,分析操作が簡易な固体吸着−加熱脱着−gc/ms法によるフタル酸エステル類,有機リン酸エステル類及び有機リン系殺虫剤を一括して測定できる分析法を検討した.捕集管にpegを添加すること及びtct装置をスプリット注入することにより,検量線は安定し,高濃度まで直線性を示した.ほとんどのフタル酸エステル及び有機リン酸エステルはシリル化石英ウールを吸着剤として使用することにより妨害物質の影響を無くすことができた.tmp,dmp,dep及び有機リン系殺虫剤は吸着剤としてtenax-taを用いることで良好な結果が得られた.
加熱脱着,フタル酸ジブチル,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル,リン酸トリ-n-ブチル,リン酸トリクレジル,ダイアジノン,クロルピリホス,室内空気,定量法,ガスクロマトグラフ/質量分析計

 

伊豆大島の水道原水の化学成分濃度および特性
 伊豆大島の17地点の水道原水としての地下水の水質を39項目について調査した.水質はヘキサダイアグラムによりNaCl型,Ca(HCO3)2型,CaCl2型,MgCl2型の4種類に分類され,火山と海水の両方の影響が認められた.相関分析により火山活動との関連を示す項目(水温,ヒ素,ホウ素,重炭酸イオン,溶性ケイ酸,カリウム)と海水の影響を示す項目(塩素イオン,蒸発残留物,電気伝導度)に分けられた.水質基準より高く検出された項目は,ヒ素,ホウ素,塩素イオン,硬度,蒸発残留物などであった.
地下水,化学成分,水道原水,ヒ素,ホウ素,伊豆大島,火山

 

遊泳用屋内プールの水及び空気中トリハロメタン調査
 東京都多摩地区に立地する遊泳用屋内プールを対象として,プール水及び室内空気中のトリハロメタンを調査した.プール水中の総トリハロメタンは4.6〜112.1µg/L(中央値41.9µg/L)の範囲であった.クロロホルムが最も高く4.0〜108.8µg/L(中央値39.5µg/L)であり,総トリハロメタンに占める割合は61.1〜98.0%(中央値95.6%)であった.室内空気中のクロロホルムは47.3〜281.9µg/m3(中央値82.8µg/m3),ジブロモクロロメタンは0.1〜6.1µg/m3(中央値0.30µg/m3)の範囲であった.空気中のクロロホルムはプール水中のクロロホルムとの間に相関関係が認められた.
トリハロメタン,クロロホルム,揮発性有機化合物,屋内プール,プール水,室内空気

  

水道原水・浄水等における原虫類並びに糞便汚染指標細菌類調査結果(平成14年度)
 平成14年度年に採取した水道原水,浄水等,多摩川河川水等における原虫類及び原虫汚染の指標となる糞便汚染指標細菌の調査結果を取りまとめた.浄水と雑用水及び4類感染症患者発生に伴う飲料水(タンク水)からは原虫類不検出だった.多摩地区及び島嶼の水道原水から昨年に引き続いて原虫類が検出され,確実な浄水処理を継続する必要性が示された.また宮城県内の水道原水や多摩川下流の河川水における検出数は平成11年度〜12年度に比べて少なく,汚濁原因となっている下水放流水の水質改善による効果と考えられた.
クリプトスポリジウム,ジアルジア,原虫,水道水,水道原水,表流水,多摩川,糞便汚染指標細菌

 

都市環境水におけるレジオネラ属菌の生息実態と共存生物調査(平成14年度)
 平成14年度に水質研究科に搬入された水試料341件についてレジオネラ属菌検査を行った.冷却塔水176件中78件,給湯水107件中11件,消防用水14件中3件,浴槽水13件中4件,温泉浴槽水7件中6件及びその他の都市環境水24件中1件からそれぞれレジオネラが検出された.レジオネラと共存生物との関係についても調査した結果,アメーバ類がレジオネラの増殖に関与していることが示唆された.それ以外の共存生物では特に原生動物の検出率が高かった.また,レジオネラの生息に一般細菌及び大腸菌群との関連性は特に見いだせなかった.
都市環境水,レジオネラ属菌,冷却塔,給湯,温泉,アメーバ類

 

水試料から検出されたレジオネラ属菌の分類
 分離頻度の低いレジオネラ属菌に注目してその出現状況を調査した.平成13年度は冷却塔水から11件(5.6%)のL.bozemaniiが,平成14年度は冷却塔水からL.gormanii及びL.bozemaniiが1件(1.3%)ずつ,循環式給湯水からL.bozemaniiが1件検出された.ここで少数分離されるレジオネラがどの程度の感染力をもつかはまだ明らかになっていないが,レジオネラ属菌は基本的にすべての菌種が病原性を有するといわれることから,引き続き環境水中での存在状況を明らかにしていく必要がある.
生活用水,レジオネラ属菌,レジオネラ ボゼマニィ,レジオネラ ゴルマニィ

 

多摩地域に所在する高齢者施設を対象とした細菌調査(平成14年度)
 平成14年度課題別地域保健推進プラン「社会福祉施設等(高齢者施設)における感染症対策」として多摩地域に所在する高齢者施設を対象とした細菌調査を実施した.冷却塔水からは,レジオネラ属菌 50%,抗酸菌 37.5%,浴槽水からは,レジオネラ属菌 33.3%,抗酸菌 29.2%,緑膿菌 37.5%,セラチア 4.2%,MRSA 8.3%を検出した.給湯水からは,レジオネラ属菌及び抗酸菌は検出されなかった.また,食堂,浴室,トイレ等の設備を対象とした拭き取り検査を実施し,緑膿菌,セラチア,MRSAを低率ながら検出した.
高齢者施設,冷却塔,浴槽水,施設環境,レジオネラ属菌,抗酸菌,緑膿菌,セラチア,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌

 

病院内の環境汚染菌調査 −2病院における測定成績−
 2002年3月と7月及び2003年1月に,A及びBの一般病院2施設で,空気中の浮遊細菌と椅子や床などの付着細菌について,人の集まる待合室を中心に調査した.浮遊細菌はエアーサンプラーにより採取し,付着細菌はスタンプ法により採取した.菌種の同定は,レプリカ法を応用して行った.さらに,浮遊塵埃数を自動粒子計測器で測定し,在室者数との相関を調べた.その結果,粒子径5ミクロン以上の塵埃数と浮遊細菌数が有意の相関をもつこと,同定された細菌種には,人に由来する環境細菌が大半を占めることなどが判明した.日常の環境調査に,5ミクロン以上の浮遊塵埃数が浮遊細菌数のモニターに代替えできることが示唆された.
レプリカ法,浮遊細菌,付着細菌,総合病院,待合室,浮遊塵埃

 

東京都内6地点における大気中微小粒子PM2.5の有害元素について
 大島,青梅,小平,町田,大田及び足立において,平成13年1月から14年4月の毎月大気中微小粒子PM2.5を採取しその有害元素を調査した.PM2.5質量濃度は,大島が最低値,足立が最高値,その他の地点がその中間的な数値であった.直ちに問題となるような高濃度の有害元素はなかった.Zn,Cd及びPb濃度は,地点間に予測された濃度勾配がみられ,かつ0.85以上の相関係数であった.これらの有害元素は廃棄物焼却を主な発生源とするので,本調査は廃棄物焼却に由来したPM2.5による大気汚染を示唆する.
粒子状物質,空気力学的粒径,微小粒子(PM2.5),有害元素,大気

 

多摩地域における井戸水中の重金属類の実態調査
 重金属類の分析を多摩地域井戸水204件について,ICP-MS法で行った.その結果Cu,Mn,Cr,Cu,Zn,Pb,As,SeおよびSbの各検出率が95%以上であり,基準値または指針値を越えた金属の検出率はFe 5%,Mn 1.5%,Zn 1%,Cd 0.5%およびSb 1%であった.今回初めて調査したUの検出率は8%であり,その最高濃度は1.2 µg/Lであった.また,測定感度を高める簡易な濃縮法として,最近開発されたキレートディスクを用いたICP-AS法を試みたところ,ICP-MS法と比較的良好な相関が認められたのはMn,Fe,CuおよびZnであった.
重金属,井戸水,実態調査,多摩地域,ICP質量分析法,ICP発光分光分析法,キレ−トディスク

  

Ⅴ 生体影響に関する調査研究

ディーゼル車排出ガスと花粉症 胎仔期・哺乳期低濃度曝露の影響

 排出ガスの胎仔期・哺乳期暴露がスギ花粉に対する免疫反応に及ぼす影響の閾値について検討した.胎仔期曝露では,IL-2,4,気管支粘膜の肥満細胞に曝露濃度による違いがみられたが,花粉に特異なIgE抗体価は低濃度条件でも高濃度と同様に上昇した.哺乳期曝露では,感作回数を増すと低濃度条件でもIgE抗体価が上昇した.さらに曝露濃度を低くした実験が必要である.IgE抗体価の上昇は,全排出ガス群,除塵排出ガス群ともみられ,排出ガス中のガス状成分か,フィルターによる除塵の後も残存している0.05µm以下の超微粒子の関与が考えられた.

ディーゼル車排出ガス,ラット,スギ花粉,免疫グロブリンe,胎仔期,哺乳期,インターロイキン,肥満細胞

 

ディーゼル車排出ガス曝露が雌ラットの生殖機能に及ぼす影響
 胎仔期,哺乳期,離乳後にディーゼル排ガスに暴露されたラットの卵巣所見と血中ホルモンについて比較検討した.暴露は濃度段階を設定した全排ガスと除塵排ガス暴露を行った.胎仔期・哺乳期高濃度暴露は,性腺刺激ホルモンの低下,発育卵胞数減少・閉鎖卵胞の増加・黄体残存,卵巣重量低下を起こした.低濃度暴露では卵巣重量低下がみられた.離乳後に曝露された場合の影響は明らかではなかった.全排ガス・除塵排ガス暴露とも同様の変化が見られ,排ガス暴露による卵巣機能への作用はガス状成分あるいは除粒子の後にも残留している0.05µm以下の超微粒子によると考えられた.

ディーゼル排出ガス,ラット,卵巣,卵胞刺激ホルモン,黄体形成ホルモン,胎仔期,哺乳期,離乳期

  

ビスフェノールAのラット及びマウスの精巣及び雄性副生殖器に対する毒性(I) −用量相関及び種差・系統差−

 ポリカーボネート樹脂等の原材料であり,環境ホルモン作用があるとされるビスフェノールA(BPA)は経飼料投与によりラットの精巣及び副生殖器に対し生殖毒性を惹起した.BPAの雄に対する生殖毒性において,とくに感受性の高い系統や種は存在せず,生殖毒性に関する最大無作用量は200mg/kg/day前後と考えられた.

ビスフェノールA,精巣,雄性副生殖器,ラット,マウス,毒性,種差,内分泌攪乱物質

  

ビスフェノールAのラット及びマウスの精巣及び雄性副生殖器に対する毒性(II) −投与経路の違いによる差−

 ポリカーボネート樹脂等の原材料であり,環境ホルモン作用があるとされるビスフェノールA(BPA)の皮下あるいは腹腔投与によるBPAの毒性は経口毒性よりはるかに強く,皮下投与によりラットの精巣及び副生殖器に対し明瞭で重篤な生殖毒性を惹起した.また,腹腔投与により,麻痺性イレウスと考えられる回腸肥大が認められた.

ビスフェノールA,精巣,雄性副生殖器,ラット,マウス,毒性,投与経路,内分泌攪乱物質

 

哺乳期雄ラットの前立腺の微細構造に対するビスフェノールA低用量投与の影響
 哺乳期雄ラットの腹側前立腺の微細構造に対する低用量のビスフェノールA(BPA)の影響について,電子顕微鏡の超薄切片法を用いて観察を行った.DMSOに溶解したBPA(0,0.8,4,20及び500µg/kg)あるいは17β-エストラジオール(E2:100µg/kg)を,出生後1日目から21日目までの間皮下投与した.E2投与のラットでは,管腔の上皮細胞の表面で,微絨毛の消失を伴った分泌顆粒の増加及び間質の線維筋層では線維芽細胞の増殖がみられた.DMSOの対照と比べ,E2投与では上皮細胞の背高への影響はなかった.BPAの20及び500µg/kgで,管腔の上皮細胞の分泌顆粒の増加が軽度に観察された.しかし間質での変化はE2投与ラットに比べ顕著でなかった.これらの所見は,BPA低用量の影響に対して,哺乳期ラットの腹側前立腺の微細構造で,エストロゲン作用の発現とも考察される.
ビスフェノールA,エストラジオール,前立腺,ラット,電子顕微鏡観察

 

食品添加物のエームス試験における既知変異原の変異原性に対する影響(第4報)
 52種の食品添加物の4NQO,AF-2,T-P-1及びBPの変異原性に対する影響についてエームス試験を用い検討した.変異原性が増加または減少した化合物は,イソチオシアン酸エチル,チアベンダゾール,乳酸鉄,ノルジヒドログアヤレチック酸,ピペロニルブトキシド,メチルβ-ナフチルケトン,リボフラビン酪酸エステル及びリボフラビン5′-リン酸エステルナトリウムの8化合物であった.
抗変異原性,助変異原性,食品添加物,エームス試験

 

遺伝子組換え大豆の細胞遺伝学的研究(第2報)
 Fischer(F344/DuCrj)系ラット雌雄に遺伝子組換え大豆精製飼料,非組換え大豆精製飼料および飼育用CE-2を6ヶ月および12ヶ月間摂取させたものの染色体分析を行ったが,いずれの精製飼料群においても染色体異常細胞の増加は認められなかった.同様に,チャイニーズハムスターの雄に遺伝子組換え大豆精製飼料,非組換え大豆精製飼料および飼育用CE-2を摂取させ,36週間から56週間まで経時的に染色体分析を行ったが,いずれの精製飼料群,いずれの摂取期間においても染色体異常細胞の増加は認められなかった.これらの結果より,遺伝子組換え大豆精製飼料摂取による哺乳動物染色体への影響はないものと判断した.
遺伝子組換え大豆,染色体分析,ラット,チャイニーズハムスター

 

Ⅵ 公衆衛生情報に関する調査研究

人口動態統計からみた20世紀の結核対策
 日本が制圧に成功しつつある結核を例にとり,人口動態統計の死亡データを加工して疾病を年次・地域別に観測し,保健医療行政を検証した.有効な治療法が無かった1945年以前の施策を死亡面から評価すると,X線診断やBCG接種を除いて大きな効果があったとは判断できなかった.人口統計をはじめとする官庁統計の維持とデータの合理的な利用が,疾病対策も含めた社会経営という技術分野における革新には不可欠なものと考える.
結核,年次推移,疾病,動向予測,人口動態統計,世代マップ

 

喫煙習慣による末梢血液検査値の変化
 東京都多摩地区における小規模企業の従業員(男性160名,女性152名)を対象とし,喫煙習慣が末梢血液検査値に及ぼす影響を調査した.非喫煙者群に比べて喫煙者群で有意な変化として認められたのは,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値,平均血球容積,平均血球ヘモグロビン量及び白血球数の上昇であった.白血球のうち,有意な上昇が認められたのは,好中球数とリンパ球数であった.赤血球数,ヘマトクリット値,平均血球ヘモグロビン濃度及び血小板数には,非喫煙者群と喫煙者群の間の差は認められなかった.
喫煙習慣,白血球数,好中球数,リンパ球数,ヘモグロビン濃度,平均血球容積,平均血球ヘモグロビン量,飲酒習慣

 

感染症発生動向調査情報のインターネットを利用した提供システムの開発
 感染症の大規模な発生を未然に防止し,その危険がある場合には速やかな対応ができるように,平常時より感染症に対する十分な管理体制を確立し,迅速に感染症の発生動向を探知する必要がある.そのためには感染症発生動向調査により集積された情報をなるべく速やかに提供し,その情報がより簡便に利用できるシステムを提供することが必要となる.そこで感染症発生動向調査データベースをWebサイト上に作成し,インターネットを利用して容易に情報入手が可能なシステム「Web版感染症発生動向調査」を開発した.
感染症,発生動向調査,週報,インターネット

 

Ⅶ 精度管理に関する調査研究 

平成14年度東京都食品衛生検査施設GLP内部点検調査報告
 東京都食品衛生検査施設に対する信頼性確保部門の業務として,平成14年度は衛生研究所,市場衛生検査所,芝浦食肉衛生検査所,食品指導センター,東京都保健所の合計52所を対象にGLP内部点検を実施した.検査実施施設では冷蔵庫・冷凍庫の温度管理の記録方法を,収去実施施設では試験品の搬送時間の記録と保管状況を特に重点的に点検した.全施設のうち,19所に対して改善措置を要請し,1所に対して確認点検を実施した.収去点検では試験品の採取から検査施設への搬入までの工程で実施したが,要改善事項は認められなかった.
適正管理運営基準,内部点検,信頼性確保部門
東京都環境放射線測定サイト 東京都感染症情報センター 東京都健康安全研究センターサイト
(このホームページの問い合わせ先)
tmiph<at>section.metro.tokyo.jp
※<at>を@に置き換えてご利用ください。
また、個別にお答えしかねる場合も
ありますので、ご了承ください。
東京都健康安全研究センター 〒169-0073 東京都新宿区百人町三丁目24番1号 電話:03-3363-3231
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