毒物劇物輸入業の業務について

 

輸入業者の業務について

 毒物又は劇物を販売又は授与の目的で輸入するには、毒物劇物輸入業の登録を受けなければなりません。※1

 毒物劇物輸入業者が輸入した毒物又は劇物は、毒物劇物営業者(製造業者、販売業者等)に

販売し、授与し、又はこれらの目的で貯蔵、運搬、陳列することができます。※2

 これらの業務を行うには、以下の項目を遵守する必要があります。

 また、毒物劇物輸入業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う営業所ごとに専任の毒物劇物取扱責任者を置き、毒物又は劇物による保健衛生上の危害の防止にあたらせなければなりません。(毒物及び劇物取締法第7条)

 

※1 自社製品の原料として全量自家消費したり、試験研究、社内見本用として使用する場合には、厚生労働省地方厚生局から輸入確認証を受けることで通関させることが可能です。詳しくは厚生労働省地方厚生局ホームページをご確認ください。

※2 実際の使用者(工場、大学等)に販売する場合は別途毒物劇物販売業の登録が必要になります。販売業の登録申請先は営業所所在地の各区保健所又は各多摩地区保健所となります。

 

  関連条文等

毒物及び劇物の取扱

毒物及び劇物取締法

(以下「毒劇法」という)第11条

容器等の表示

毒劇法第12条

譲渡譲受手続、

交付の制限等

毒劇法第14条

毒劇法第15条

運搬について

毒劇法第11条、第16条、(第22条)

荷送人の通知

毒劇法施行令第40条の6

事故発生時の措置

毒劇法第17条

SDS

毒劇法施行令第40条の9

危害防止規定

昭和50年11月6日 薬安第80号、薬監第134号(通知)

廃棄について

毒劇法第15条の2

 

 

 
 

1  毒物及び劇物の取扱 (毒劇法第11条)

 毒物又は劇物を取扱う際は、以下を防止するために必要な措置を取らなければなりません。

・盗難、紛失

・飛散、漏れ出、流出、しみ出ること

保管場所はその他のもの(雑品や医薬品等)と明確に区別した毒物劇物専用のものとし、鍵のかかる堅固な設備等としてください。震災対策として、転倒防止策等についても必要な措置を講じてください。

また、毒物又は劇物の容器には、飲食物の容器として通常使用される物は使用できません。

参考:毒物及び劇物の保管管理について(PDF:219KB) (昭和52年3月26日 薬発第313号)  

 

2 容器等の表示 (毒劇法第12条)

 毒物又は劇物の容器及び被包に以下の項目を表示しなければ販売又は授与できません。

・(毒物の場合)「医薬用外」の文字及び赤地に白色をもって「毒物」の文字

・(劇物の場合)「医薬用外」の文字及び白地に赤色をもって「劇物」の文字

・毒物又は劇物の名称

・毒物又は劇物の成分及びその含量

・毒物劇物輸入業者の氏名及び住所。法人の場合はその名称と主たる事務所の所在地

 (毒劇法施行規則第11条の6(一部抜粋))

・毒物又は劇物の取り扱い及び使用上特に必要と認めて、厚生労働省令で定める事項

 (厚生労働省令で定める毒物又は劇物についてはその解毒剤の名称)

 

注意! 毒劇法のほかに労働安全衛生法に基づくGHS対応の表示が求められます。

    職場のあんぜんサイト(厚生労働省ホームページ)にGHSモデルラベルがあります

    ので、作成の参考にしてください。

    東京都では、都内の毒物劇物輸入業者向けに、GHSラベルの留意点について配布資料

    を作成しています。

    GHSについて(word 118KB)

    GHS関連の問い合わせ先は厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課

    となります。

 

 

毒物又は劇物を貯蔵、陳列する場所には「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」の文字、劇物については「劇物」の文字を表示しなければなりません。

 

 

3 譲渡譲受手続(毒劇法第14条)、交付の制限等(毒劇法第15条)

毒物又は劇物の販売先が毒物劇物営業者(製造業者、販売業者等)の場合は、販売・授与の都度以下の項目を記載し、販売又は授与の日から5年間保管しなければなりません。

・毒物又は劇物の名称及び数量

・販売又は授与の年月日

・譲受人(販売先)の氏名、職業、住所(法人の場合は法人名と主たる事務所の所在地)

 

毒物又は劇物の販売先が実際の使用者(工場・大学等)の場合は、販売・授与の都度以下の項目が記載された書面の提出を受けて、販売・授与します。提出を受けた書面は、販売又は授与の日から5年間保管しなければなりません。

なお、その場合は、別途販売業の登録が必要になります。

・毒物又は劇物の名称及び数量

・販売又は授与の年月日

・譲受人(販売先)の氏名、職業、住所(法人の場合は法人名と主たる事務所の所在地)

・譲受人(販売先)の押印

 

毒物又は劇物を販売・授与する際は以下の点にご注意ください。

・18歳未満には販売・授与できません。18歳以上であることを確認してください。

・引火性、発火性、爆発性の毒物又は劇物であって政令で定めるもの(毒劇法施行令第32の3条)は、住所、氏名等を確認した後でなければ販売・授与できません。

身分証明書、運転免許証、健康保険証等で年齢、住所、氏名等を確認してから販売・授与しましょう。確認した内容は、帳簿に記録してください。

 

  

4  運搬について (毒劇法第11条、第16条、(第22条))

輸送時の事故等を未然に防ぐために、①届出や②運搬容器の基準 があります。

①運送業の届出

 毒劇法施行令第42条別表第2に掲げる毒物または劇物23品目を運送する者が以下に該当する場合は毒物劇物運送業の届出が必要になります。(届出先は各区保健所又は各多摩地区保健所です。)

  ・ 最大積載量が5000Kg以上の自動車又は被けん引自動車に固定された容器

   (いわゆるタンクローリー)を用いて反復継続して運送する

  ・ 内容積(容器の最大投入量)が1000L以上(四アルキル鉛を含有製剤は200L

   以上)の容器を積載して反復継続して運送する

 

②運搬容器の基準

 毒物又は劇物を運搬する場合には、これらのものが飛散し、漏れ、流れ出、又はしみ出ることを防ぐのに必要な措置を講じなければなりません。

また、取り扱う毒物又は劇物の種類や量、容器等によって係る基準が異なります。詳細は以下の通知を確認してください。

  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準について
  •   (昭和63年6月15日 薬発第511号)
  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準の運用指針について
  •   (昭和63年6月15日 薬安第60号)
  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準の運用指針について
  •   (平成3年3月6日 薬安第22号)
  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準について(平成3年3月6日 薬発第255号)
  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準について(平成4年9月1日 薬発第836号)
  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準の運用指針について
  •   (平成4年9月11日 薬安第102号)
  •  ・毒物及び劇物の運搬容器に関する基準-その3の運用指針の改正について
  •   (平成8年3月15日 薬安第22号)

 

5  荷送人の通知(毒劇法施行令第40条の6)

1回で1000Kg(混載含む)以上の毒物又は劇物の運搬を他に委託するときには、運送人に対してあらかじめ注意事項などをまとめた書面を交付してください。

ただし、この書面は、イエローカード(緊急連絡カード)に「成分・含量・数量等」の所要の事項を加えることで代用することができます。(平成8年5月13日付薬安第55号)

(記載例)荷送人の通知  (PDF 180KB)

 

 

6  事故発生時の措置 (毒劇法第17条)

万が一、流出、飛散などの事故が発生した場合は直ちに保健所、警察署、消防機関などに

連絡し、必要な措置を取ってください。

また、盗難・紛失した場合は直ちに警察署に届け出てください。

届出や連絡等、必要な手順は下記8の危害防止規定に規定しましょう。

 

 

7  SDS:化学物質安全データシート (毒劇法施行令第40条の9)

毒物又は劇物を販売又は授与する際にはSDSの提供が必要です。

SDSとは、毒物又は劇物の性状や取扱いに関する情報を販売又は授与した相手に伝えるための文書です。

SDSは邦文での記載が必要となります。外国語の文献をそのまま使用することはできませんのでご注意ください。

 

<記載事項>

・毒物劇物輸入業者の氏名及び住所(法人の場合はその名称と主たる事務所の所在地)

・毒物又は劇物の別

・毒物又は劇物の名称

・応急措置

・火災時の措置

・漏えい時の措置

・取扱い及び保管上の注意

・暴露の防止及び保護のための措置

・物理的及び化学的性質

・安定性及び反応性

・毒性に関する情報

・廃棄上の注意

・輸送上の注意

 

(イメージ)

  

 

 

8  危害防止規定(昭和50年11月6日 薬安第80号、薬監第134号)

毒物又は劇物による危害の防止を図る上で、日常の取扱い、運搬、廃棄、事故時の措置について規定しなければなりません。

1. 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いの作業を行う者、その設備等の点検を行う者、事故時に

  おける関係機関への通報及び応急措置を行う者の職務及び組織に関する事項
2. 毒物及び劇物の貯蔵又は取扱いに係る作業の方法に関する事項
3. 毒物及び劇物の貯蔵及び取扱いに係る設備の点検に関する事項

4. 毒物及び劇物の貯蔵及び取扱いに係る設備等の整備又は補修に関する事項
5. 事故時における関係機関への通報及び応急措置活動に関する事項

6. 毒物及び劇物の貯蔵及び取扱いの作業を行う者及びその設備の保守を行う者、事故時の

  応急措置を行う者の教育及び訓練に関する事項
7. その他、保健衛生上の危害を防止するために遵守しなければならない事項

 

「毒物劇物取扱責任者の業務について」   (PDF 134KB)

(昭和50年7月31日 薬発第668号)

「毒物劇物危害防止規定について」 (PDF   98KB)

(昭和50年11月6日 薬安第80号 薬監第134号)

  

 

9  廃棄について(毒劇法第15条の2)

毒物又は劇物は、毒物又は劇物ではないものにしてから廃棄してください。

・中和、加水分解、酸化、還元、希釈等の方法により毒物又は劇物に該当しないものにしてください。

・下水道法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等、他の法律にも抵触しないように注意してください。

 

 

10 配布資料について

東京都では、都内の毒物劇物輸入業者向けに、以下の配布資料を作成しています。

業務の参考にご活用ください。

1:毒物劇物の容器及び被包の表示事項(word 42KB)

2:毒物・劇物運搬の手引(word 334KB)

3:SDSについて(word 153KB)

4:危害防止規定 (word 86KB)

 

 

 

■問い合わせ

このページの担当は、健康安全研究センター広域監視部薬事監視指導課 

流通・毒劇物指導担当です。   連絡先:03-5937-1028

東京都環境放射線測定サイト 東京都感染症情報センター 東京都健康安全研究センターサイト
(このホームページの問い合わせ先)
tmiph<at>section.metro.tokyo.jp
※<at>を@に置き換えてご利用ください。
また、個別にお答えしかねる場合も
ありますので、ご了承ください。
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