研究年報 第62号(2011)和文要旨

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和文要旨
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 総説

わが国におけるアニサキス症とアニサキス属幼線虫
 わが国におけるアニサキス症は,食品媒介寄生虫症の中で最も多く年間500例以上にも及ぶと考えられ,アニサキスは食品衛生法において食中毒起因物質に指定されている.国内のアニサキス症の多くは,Anisakis simplexの3種の同胞種の一つであるAnisakis simplex sensu strictoによることが分子生物学的解析により明らかとなってきた.その感染原因食は地域により一部異なり,都内ではサバが最も多く,なかでもしめさばの割合が高い.アニサキスは,更に,蕁麻疹や稀にアナフィラキシーを引き起こすアレルギーの原因物質となることが知られている.本稿では,現在までのアニサキス症に関する疫学およびアニサキス属幼線虫の種類と同定について述べるとともに,アニサキスへの感染リスクとその原因について概説する.
アニサキス症,アレルギー,アニサキス属幼線虫,形態学的同定,分子生物学的同定,Anisakis simplex sensu stricto,Anisakis pegreffii,マサバ,筋肉内移行率

 

健康食品に含有される医薬品成分の分析
 健康食品には,効果を高めるため違法に医薬品成分を含有する例が後を絶たない.平成14年の中国製ダイエット健康食品事件のように,過去には重篤な健康被害を生じている.含有される医薬品成分は,医薬品そのものの他,一部構造を変化させた化合物,医薬品として開発された経緯を持つ化合物が用いられる他,カプセル剤皮に成分を含有させる等,検出を免れる手法は複雑化している.健康食品に含有される医薬品成分を探索するには,まず,既知の化合物を迅速に確定することが重要である.既知化合物の検出には,LC/PDAやLC/MS/MSを中心とした一斉分析,PDAスペクトル及びMSフラグメントライブラリーの構築と活用,TLCやGC/MSを含めた複数分析法が組み合わせて用いられている.これら種々の分析法について紹介するとともに,新規未知成分の同定についてED治療薬類似成分の構造解析を中心に概説する.
健康食品,医薬品,健康被害,強壮,ダイエット,ED治療薬成分,一斉分析,LC/MS,GC/MS,LC/PDA

 

論文Ⅰ 感染症等に関する調査研究

<原著>リアルタイムPCR法による麻しんウイルス検出法の開発
 リアルタイムPCR法による麻しんウイルス(MV)遺伝子検査法を新たに開発した.本法はMV遺伝子のみを特異的に検出し,類似症状を起こす他のウイルス(PB19,HHV-6,7,RuV,EnV,VZV,EBV)との交差反応はみられなかった.また,本法の検出感度は3.0×100 コピー/ tube(10-2 TCID50/tube)であり,MVのNP領域におけるnested-PCR法よりも100倍高い感度であった.これらのことから,本法が高感度かつ迅速なMV検査診断法として有用であることが示唆された.
麻しん,麻しんウイルス,リアルタイムPCR法

 

<原著>インフルエンザウイルス(A/H1N1pdm09)の検出法の開発と流行株における抗原解析
 2009年にメキシコ,北米で発生した新型インフルエンザウイルス(A/H1N1pdm09)が世界中で大流行した.東京都ではWHOにより公開された遺伝子配列を基に,都内での流行前にA/H1N1pdm09亜型ウイルスを検出するリアルタイムPCR法とRT-nested PCR法を開発し検査体制を構築した.2009/2010/2011シーズン中に都内で流行したA/H1N1pdm09亜型ウイルスのHA遺伝子配列の解析を行った結果,4つの大きなグループに分かれたが,その後,徐々に少数のグループに収束する傾向が明らかになった.
インフルエンザウイルス,リアルタイムPCR法,RT-nested PCR法,A/H1N1pdm09亜型株,遺伝子解析

 

<原著>インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル耐性遺伝子変異の検出  (2010−2011シーズン)
 インフルエンザウイルスのオセルタミビル耐性変異を調査する目的で,新たにA/H3N2亜型(E119V)およびB型(R152K)変異検出用のreal-time PCR法を開発した.先に開発したA/H1N1pdm09亜型のオセルタミビル耐性変異の検出法を併用して,2010-2011シーズンに都内で分離されたA/H1N1pdm09亜型(151株),A/H3N2亜型(75株)およびB型(55株)を調査したところ,A/H1N1pdm09亜型2株にH275Yのアミノ酸変異が認められた.
インフルエンザ,ノイラミニダーゼ阻害剤,オセルタミビル耐性,アミノ酸変異,H275Y,E119V,R152K,real-time PCR法

 

<原著>東京都健康安全研究センターにおけるHIV検査成績(2005年−2010年)
 2005年から2010年に東京都健康安全研究センターで実施したHIV検査結果の解析を行った.2008年以降,南新宿検査・相談室および保健所からの依頼検査件数は減少しているが,6年間の陽性率は0.76~1.00%で推移し,あまり変化がみられていない.一方,確認検査において,WB法では確定できず,遺伝子検査でHIV陽性となる感染初期例が増加していた.また,即日検査の確認検査において,IC法のみ陽性の場合よりもIC法陽性かつ追加検査陽性であった場合の方が陽性的中率が高く,追加検査の重要性が示唆された.
ヒト免疫不全ウイルス,後天性免疫不全症候群,HIV検査,HIV抗原・抗体同時検出キット,核酸増幅検査,即日検査

 

<原著>東京都における麻しんの流行状況について(2011)
 東京都は2010年から積極的疫学調査事業として「麻しんの全数検査」を実施し,麻しんと診断された患者検体を可能なかぎり確保し,遺伝子検査による診断を行う体制を整えている.2010年にはそれらの検体からの麻しんウイルスの検出例はワクチン由来株1件のみであった.しかし,2011年1月下旬に,都内では過去には検出されたことがなく,輸入例と思われる遺伝子型の麻しんウイルスが2例検出された.その後都内では4月をピークとし,5月末まで続く麻しんの流行が見られた.今回はその流行状況について,検出された麻しんウイルスの遺伝子解析結果ならびに疫学調査結果をあわせて報告する.
麻しん,遺伝子型別,D4,D8,D9,輸入感染例,分子疫学,麻疹,流行,疫学調査,2011

 

<原著>薬剤耐性結核菌の遺伝子型と薬剤感受性検査成績(平成22年度)
 平成22年度に薬剤耐性結核菌監視事業で当センターに搬入された薬剤耐性結核菌27株(多剤耐性菌6株,SM耐性菌9株,INH及びSM耐性菌8株等)の遺伝子型並びに薬剤感受性について調査を実施した.27株はRFLP法による遺伝子型解析で17のパターンに分類された.最大クラスターはSM耐性を示す6株で,VNTR解析ではアリルプロファイルはほぼ同一で,過去に分離されたSM耐性菌34株ともほぼ同一の特徴であった.2番目に大きなクラスターはINHとSM両剤に耐性の4株で,VNTR法ではほぼ同一の遺伝子型であったが,過去に分離された14株とは異なるアリルプロファイルを示す株もあった.
薬剤耐性結核菌監視事業,遺伝子型,RFLP法,VNTR法,薬剤感受性試験

 

<資料>Multiplex real-time PCRを用いた黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型別法
 黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ型別を行うmultiplex real-time PCR法を開発した.コアグラーゼI~VIII型それぞれのcoa遺伝子領域を標的とし,特異的配列部位に基づいた8対の型別用プライマーを設計した.各プライマーを2あるいは3種類混合した3種類のマスターミックスを作製し,real-time PCRを行った結果,増幅されたPCR産物のTm値によりコアグラーゼ型を判定することが出来た.従来法で型別不能であった15株全ての型別も可能であったことから,本法は従来法と比べ簡易・迅速かつ精度の高い型別法として有効であることが判明した.
コアグラーゼ型別,multiplex real-time PCR,CYBR Green,黄色ブドウ球菌,Staphylococcus aureus

 

<資料>Chlamydia trachomatisの遺伝子配列解析による血清型判定
 性感染症クラミジアには19種の血清型の存在が報告されている.血清型別は膜タンパク質の抗原性の差異に基づく検査であるため,従来はクラミジアを分離培養しなければ実施することが出来なかった.今回,DNAシ−ケンス解析による型別法を導入し,2010年1月から12月までに定点医療機関から搬入されたクラミジア遺伝子陽性例40件について,検体から直接,血清型別検査を実施した.その結果,D, E, F型が全体の65%を占め,年代別にみると40歳を境に型分布が変化している傾向が認められた.
クラミジアトラコマティス,血清型別,DNAシーケンス法,系統樹解析

 

論文Ⅱ 医薬品等に関する調査研究

<原著>平成22年度薬物分析調査について
 平成22年度に行った薬物分析調査の結果を報告する.ケミカル系ドラッグ46製品を調査したところ,薬物が検出されたドラッグは39製品で,25製品は1種類の薬物のみの含有であったが,残りは2種以上の薬物を含有し5種類以上含有するものが1製品あった.検出薬物は薬事法指定薬物が2種,新規検出薬物が7種,既知薬物が7種であった.新規検出薬物のうち検出後薬事法指定薬物に指定されたものが2種あった.また既知薬物のうち検出後薬事法指定薬物に指定されたものが5種あった.検出された新規薬物は,naphyrone(1-(naphthalen-2-yl)-2-(pyrrolidin-1-yl)pentan-1-one),MPPP(1-(4-methylphenyl)-2-(1-pyrrolidinyl)propan-1-one),MDPBP(1-(benzo[d][1,3]dioxol-5-yl)-2-(pyrrolidin-1-yl)butan-1-one),4MEC(2-(ethylamino)-1-(4-methylphenyl)propan-1-one),bk-MDBZ(1-(benzo[d][1,3]dioxol-5-yl)-2-(benzylamino)propan-1-one),buphedrone(2-(methylamino)-1-phenylbutan-1-one)および2,3-DCPP(1-(2,3-dichlorophenyl)piperazine)で,これらについてはTLC,LC/PDA,GC-EI/MS,HR-TOF/MSおよびNMRから得られた種々のデータにより化学構造を決定した.
違法ドラッグ,naphyrone(1-(naphthalen-2-yl)-2-(pyrrolidin-1-yl)pentan-1-one),MPPP(1-(4-methylphenyl)-2-(1-pyrrolidinyl)propan-1-one),MDPBP(1-(benzo[d][1,3]dioxol-5-yl)-2-(pyrrolidin-1-yl)butan-1-one),4MEC(2-(ethylamino)-1-(4-methylphenyl)propan-1-one),bk-MDBZ(1-(benzo[d][1,3]dioxol-5-yl)-2-(benzylamino)propan-1-one),buphedrone(2-(methylamino)-1-phenylbutan-1-one),2,3-DCPP(1-(2,3-dichlorophenyl)piperazine)

 

<原著>平成22年度指定薬物検出事例
 東京都では,違法ドラッグによる健康被害の発生を未然に防ぐために,流通販売されている製品の流通実態調査を行っている.平成22年度の流通実態調査においては,120製品中3製品から指定薬物が3種検出された.指定薬物の同定に当たっては,正確さが重要であり,複数の方法を組み合わせて行う必要がある.当研究科では,分析法としてフォトダイオードアレイ検出器付液体クロマトグラフィー(LC/PDA)や電子イオン化質量分析計付ガスクロマトグラフィー(GC/EI-MS)を用い,検出成分によってさらにトリフルオロ酢酸(TFA)化及びトリメチルシリル(TMS)化による誘導体のGC/EI-MSや分離特性の異なるカラムによる分析を行っている.本報では,平成22年度に検出された指定薬物である4-methylmethcathinone(4-MMC),diphenylprolinol(D2PM),JWH-018の同定について詳細を報告する.
違法ドラッグ,指定薬物,4-methylmethcathinone,diphenylprolinol,JWH-018

 

<資料>痩身効果を目的として個人輸入されたホスピタルダイエット及びMDクリニックダイエットから検出された医薬品成分
  インターネットを利用してタイから個人輸入されたホスピタルダイエット及びMDクリニックダイエットは,痩身効果を目的とした医薬品成分を含有する製品である.なかには死亡原因及び健康被害との関連が疑われた製品があり,原因を究明するために成分分析を行った.平成17~18年に検査したホスピタルダイエット2製品は錠剤とカプセル剤の組み合わせで構成されており,その種類は5種類又は6種類であった.また,平成20~22年に検査したMDクリニックダイエット3製品は,同様に錠剤とカプセル剤6種類又は7種類の組み合わせで構成されていた.分析の結果,ホスピタルダイエットからビサコジル,シブトラミン,フルオキセチン,ヒドロクロロチアジド,甲状腺末,フェンフルラミン,クロルフェニラミン,アスコルビン酸を検出した.また,MDクリニックダイエットからはビサコジル,ジオクチルスルホサクシネート,シブトラミン,フルオキセチン,甲状腺末,クロルフェニラミン,プロプラノロール,フロセミドを検出した.
ホスピタルダイエット,MDクリニックダイエット,個人輸入,痩身,ダイエット,医薬品,健康被害

 

<資料>化粧品中の防腐剤であるパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)の濃度
 平成22年度に試験検査した医薬部外品を除く149製品の化粧品において,代表的な防腐剤であるパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)に着目し,6種類のパラベンの検出頻度や検出濃度等について調査した.製品にパラベンの表示があったものは64件(43%)であり,このうち,メチルパラベン60件,プロピルパラベン26件,エチルパラベン15件,ブチルパラベン11件,イソブチルパラベン4件を検出し,イソプロピルパラベンは検出しなかった.検出したそれぞれの最高濃度は,0.77,0.19,0.25,0.19,0.02 g/100 gであった.一方,パラベンの表示がない3件からパラベンが検出され,最高値は0.091 g/100 gのエチルパラベンであった.149製品の化粧品から検出されたパラベンの合計値は最大で0.77 g/100 gであり,薬事法に基づく化粧品基準に規定されたパラベンの合計配合制限量1.0 g/100 gを超えるものはなかった.しかし,2製品が日本の規制より厳しい欧州委員会の規制値または規制提唱値を超えていた.
化粧品,防腐剤,パラオキシ安息香酸エステル,パラベン,化粧品基準,欧州委員会

  

<資料>家庭用品規制法対象外繊維製品におけるホルムアルデヒド調査結果
 東京都では,「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」に基づき,規制対象家庭用品の試買試験を実施しているが,健康被害未然防止の観点から,規制対象以外の品目についても,先行調査として同様の試買試験を毎年任意で実施している.本報では,主として平成16~20年度に実施した任意試買試験のうち,規制対象外の繊維製品におけるホルムアルデヒド調査結果について報告する.
ホルムアルデヒド,繊維製品,サポーター,マスク,乳幼児用布製靴,スリング,家庭用品,有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律,樹脂加工,移染

 

論文Ⅲ 食品等に関する調査研究

<原著>HILICカラムを用いたLC/MSによる食品中のEDTA分析法
 酸化防止剤の1つであるエチレンジアミン四酢酸をFe3+でキレート型にした後,陰イオン交換固相抽出カラムで前処理し,LC/MSで分析する方法を検討した.LC条件としてHILICカラム及び移動相20 mmol/L ギ酸アンモニウム-アセトニトリル(4:6)を用いることにより,良好な分離を得ることができた.また,MS条件はキャピラリー電圧2.5 kV,コーン電圧30 Vのときにもっとも良好な感度が得られた.Fe-EDTAは分子量348であることから,SCANモード(m/z 50~420)による測定を行ったところ,マススペクトル上で[FeEDTA-4H]-m/z 344)が確認できた.
HILICカラム,液体クロマトグラフ/質量分析計,EDTA,Fe3+キレート型EDTA,陰イオン交換固相抽出カラム

 

<原著>簡易キットによる有機リン系農薬の迅速検査法の検討
 食品に起因する健康危害発生時に速やかな原因の特定に役立てるため,農薬混入事件で話題になったメタミドホスやジクロルボス,毒性の高いトリアゾホスを対象に,3種類の農薬分析簡易キット(アグリスクリーンチケット,アグリケムTM,有機りん系農薬検出キット)による迅速検査法を検討した.有機りん系農薬検出キットでは3農薬とも検出されたが,他の2種のキットにおいてはメタミドホスは高濃度でも検出されなかった.厚労省通知の迅速試験法に準じて調製した試験液は,有機りん系農薬検出キットではそのまま測定できたが,他のキットでは試験液を水に置換する必要があった.アグリケムTMでは油脂の影響を受けずに正確な判定が可能であったが,有機りん系農薬検出キットでは固相カラムによる油脂の除去が必要であった.アグリスクリーンチケットにおいては油脂の除去を行っても農薬の有無の判定ができなかった.色素の妨害については,試験液を水に置換することにより,3キットいずれも正確な判定が可能であった.以上から,試料の状態に応じてキットを使い分けることにより,3農薬の迅速検査が可能であることが判明した.
簡易キット,有機リン系農薬,迅速検査,メタミドホス,ジクロルボス,トリアゾホス,油,色素

 

<原著>食肉からの基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌の検出
 都内で流通する食肉から基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌の検出を試みた.ESBL産生大腸菌は国産鶏肉28検体中12検体,輸入鶏肉19検体中7検体,牛内臓肉18検体中3検体の計22検体から31株検出された.31株が保有するESBL遺伝子は,国産食肉由来株ではCTX-M-9及びCTX-M-1 groupが,輸入鶏肉由来株ではCTX-M-2及びCTX-M-8 groupが多かった.セフォタキシム(CTX)に対する薬剤感受性はCTX-M型株は耐性,TEM及びSHV型株は中間を示し,31株中9株はフルオロキノロン耐性であった.
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ,ESBL,薬剤耐性菌,大腸菌,糞便系大腸菌群,第三世代セフェム系薬剤,食肉,鶏肉

 

<資料>市販生鮮青果物の衛生細菌学的調査成績(1999年~2010年)
 1999年から2010年までに搬入された市販生鮮青果物1,531検体を当研究科で細菌学的に検査した成績をまとめた.細菌数は,102~1010 CFU/gに分布しており果菜類とカット野菜は他の野菜と比べて低く,芽物野菜は高い傾向であった.工場野菜は露地物の野菜に比べて少なかった.工場野菜を除く1,497検体のうち,大腸菌が検出された野菜は182検体であった.このうちベロ毒素産生性大腸菌が2009年に1検体から検出されたほかは易熱性毒素及び耐熱性毒素産生性の大腸菌は検出されなかった.また,腸管出血性大腸菌O157及びO26,サルモネラ属菌も検出されなかった.
生鮮青果物,大腸菌,ベロ毒素産生性大腸菌,もやし

 

<資料>缶詰及びレトルト食品中のビスフェノールAジグリシジルエーテル及び関連化合物の調査
 缶詰及びレトルト食品中のビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)及び関連化合物の調査を行った.BADGEが最高250 ng/g,BADGE及びBFDGEの塩化水素反応物がそれぞれ最高1,130 ng/g,670 ng/g,加水分解物がそれぞれ最高670 ng/g,91 ng/g検出された.また,食品充填前の缶詰容器を用いたレトルト殺菌処理によるモデル溶出実験で,BADGEがサラダ油から最高190 ng/g,BADGE加水分解物が蒸留水や4%酢酸から最高1,600 ng/mL検出された.
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE),食品,固相抽出,高速液体クロマトグラフィー,缶,レトルト包装

 

<資料>食品用竹製品および串刺し食品中の2-クロロエタノール
 食品用竹製品および串刺し食品中の2-クロロエタノール(ECH)の分析法を検討した.その結果,エタノール中に竹製品は5時間,食品は3時間 70°Cで浸漬加温することにより抽出することができた.GC-MSのSIMモードで測定することにより,試料中のECHは2 µg/gまで定量可能であり,回収率は94~101%であった.市販の竹製品(49試料)および串刺し食品(3試料)計52試料を分析したところ,竹串1試料からECHが330 µg/g検出された.
 モデル実験としてECHを含有する竹製割り箸を調製し,長期保存したところ,ECHは3ヶ月経過後も32%残留していた.また,割りばし中ECH含有量の3~24%が食品へ移行することを確認した.
2-クロロエタノール,竹串,ガスクロマトグラフィー/質量分析法,食品,移行

 

<資料>食品中の特定原材料(卵,乳,小麦,そば,甲殻類)の検査結果  −平成22年度−
 平成22年度に当センターで行った,食品中の卵,乳,小麦,そば,甲殻類(えび,かに)を対象とした特定原材料の検査結果を報告する.東京都内で製造された食品について,乳を対象として10検体,小麦を対象として10検体,そばを対象として4検体,甲殻類(えび,かに)を対象として8検体検査した結果,いずれも陰性であった.卵を対象として25検体検査した結果,2検体が陽性であった.これらの検体はいずれも原材料表示に検査対象となる原材料の記載はなかった.市販食品7検体について,甲殻類(えび,かに)を対象として確認試験を行った.原材料表示にかにの記載のある2検体のうち1検体ではかにが陽性,1検体ではえびが陽性であった.原材料表示にえびの記載のある1検体はえびが陽性であった.原材料表示にえび,かにの記載のない4検体では1検体でえびが陽性であった以外はすべて陰性であった.
食物アレルギー,特定原材料,卵,乳,小麦,そば,甲殻類,えび,かに

 

<資料>国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査  −平成22年度−
 平成22年4月から平成23年3月に東京都内に流通していた国内産農産物34種87作物について残留農薬実態調査を行った.その結果25種37作物(検出率43%)から殺虫剤,殺菌剤及び除草剤を合わせて29種類の農薬(有機リン系農薬5種類,有機塩素系農薬5種類,カルバメート系農薬2種類,ピレスロイド系農薬6種類,含窒素系及びその他の農薬11種類)が痕跡(0.01 ppm未満)~22 ppm検出された.プロチオホスがかぶの葉から一律基準の0.01 ppmを超えて0.03 ppm検出され,クロロタロニル(TPN)がレタスから残留基準値である1 ppmを超えて22 ppm検出され,これらは食品衛生法違反であった.
残留農薬,国内産農産物,野菜,果実,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,最大残留基準値

 

<資料>輸入農産物中の残留農薬実態調査(有機リン系農薬及び含窒素系農薬)  −平成22年度−
 平成22年4月から平成23年3月に都内に流通していた輸入農産物65種344検体について,有機リン系農薬及び含窒素系農薬の残留実態調査を行った.有機リン系では殺虫剤13種類が17種26検体から検出された.含窒素系では殺虫剤8種類が18種41作物から,殺菌剤17種類が18種63作物から,除草剤2種類が2種2作物から痕跡(0.01 ppm未満)~1.2 ppmの濃度で検出された.インド産紅茶の茶葉からモノクロトホスが残留基準値(0.1 ppm)を超えて検出された.
残留農薬,輸入農産物,有機リン系農薬,含窒素系農薬,殺虫剤,殺菌剤,除草剤

 

<資料>輸入農産物中の残留農薬実態調査(有機塩素系農薬,N-メチルカルバメート系農薬及びその他)−平成22年度−
 平成22年4月から平成23年3月に都内の市場等で購入した輸入農産物65種344作物について,有機塩素系農薬,N-メチルカルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬及びその他農薬の残留実態調査を行った.有機塩素系農薬では,6種類の殺虫剤及び4種類の殺菌剤が,17種39作物(検出率11%)から検出された.N-メチルカルバメート系農薬では,2種類の殺虫剤が,2種2作物(0.6%)から検出された.ピレスロイド系農薬では,9種類の殺虫剤が19種30作物(9%)から検出された.その他4種類の殺菌剤,1種類の除草剤,1種類の植物成長調整剤及び1種類の農薬共力剤が検出された.これらの残留量は痕跡(0.01 ppm未満)~6.0 ppmであり,食品衛生法に違反するものはなかった.
残留農薬,輸入農産物,有機塩素系農薬,N-メチルカルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,植物成長調整剤,農薬共力剤

 

<資料>輸入食品中の放射能濃度(平成22年度)
 1986年4月に発生したチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故をうけて,東京都では輸入食品中の放射能濃度(セシウム134及びセシウム137)の監視を行っている.平成22年度は338件の放射能濃度測定を行った.21年度はブルーベリージャムで暫定限度値(370 Bq/kg)を超える500 Bq/kgの放射能を検出したが,22年度は限度値を超える検体はなかった.しかし,50 Bq/kgを超える放射能濃度を検出したものは10検体であった.これら10検体の内訳を原産国別で見ると,フランス5検体,イギリス2検体,イタリア,ベルギー,ポーランドが各1検体であった.また,食品群別に見ると,きのこ類が7検体,ブルーベリー加工品が3検体であった.
チェルノブイリ原子力発電所事故,輸入食品,放射能,セシウム134,セシウム137,きのこ,ブルーベリー加工品,ヨウ化ナトリウム検出器,ゲルマニウム半導体検出器

 

<資料>化学物質及び自然毒による食中毒等事件例(平成22年)
 平成22年に発生した化学物質及び自然毒による食中毒等事例のうち,原因物質の究明が可能であった事例としてゆでジャガイモを喫食して気分の悪さ,頭痛,嘔吐の症状を示したソラニンによる食中毒1例,サバ定食を喫食して顔面紅潮,じんましん,息苦しさ等の症状を示したヒスタミンによる食中毒1例,毒キノコのニガクリタケを誤って販売した苦情1例について報告する.
化学性食中毒,ジャガイモ,ソラニン,サバ,ヒスタミン,ニガクリタケ

 

<資料>食品の苦情事例(平成22年度)
 平成22年度に実施した一般食品苦情に関わる検査45件の中から顕著な事例4件を選び報告する.(1)ヨーグルトデザート上の粉のような結晶状物質は,硝酸塩であった.(2)ネギトロ巻きを喫食中に口から出てきた異物は,魚の骨と推察された.(3)芋けんぴを喫食中に口から出てきた異物は,苦情者の虫歯が欠けたものと推察された.(4)洋なしケーキから出てきた繊維状物質は,洋なしの芯周囲の木質化した繊維と推察された.
食品苦情,異物混入,硝酸塩,骨,歯,洋なし,石細胞

 

論文Ⅳ 生活環境に関する調査研究

<原著>屋内プールにおける空気中ハロ酢酸類の測定
 屋内プールの室内空気に含まれるハロ酢酸類を調査するため,空気中ハロ酢酸類測定法を検討し,都内8ヵ所のプールで調査を行った.測定方法の検討では,直径2 cmに打ち抜いたEmpore Diskを用いて空気を採取し,ジクロロメタンで抽出後,誘導体化し,ガスクロマトグラフ/質量分析計により定量した.測定対象9物質の回収率は,Empore Diskを500 ppmトリフルオロ酢酸/クロロホルムで洗浄することにより向上した.屋内プールの調査では,1ヵ所のみでクロロ酢酸が検出され,濃度は0.39 µg/m3であった.
ハロ酢酸類,屋内プール,空気,クロロ酢酸,ジクロロ酢酸,トリクロロ酢酸,消毒副生成物

 

<原著>大気中フラーレンC60の測定
 スポーツ用品や化粧品等,一般消費者向けの製品に使用されているフラーレンC60(以下,C60)について,大気中C60濃度の測定法を検討し,実態調査を行った.高速液体クロマトグラフ/質量分析計法で検討した結果,導入液濃度の定量下限値が1 ng/mLの低濃度まで測定が可能になった.この方法を用いて,2008年12月から2009年11月までの,都内のビル屋上(地上22 m)における大気中C60濃度を測定した結果,各月とも2.3 pg/m3未満であった.
フラーレン,C60,ナノマテリアル,液体クロマトグラフ/質量分析計,大気

 

<資料>水環境中の抗インフルエンザウイルス剤の分析法
 水環境中の抗インフルエンザウイルス剤オセルタミビル(OT)及びその活性代謝物オセルタミビルカルボキシレート(OC)の存在実態を把握するための分析法について検討した.水試料中のOT及びOCを酸性下,タンデム型に接続した2種類の固相で抽出し,アセトニトリルで溶出後,濃縮し液体クロマトグラフ-質量分析計(LC/MS)またはタンデム型質量分析計で分離定量した.本法によるOT及びOCの定量下限値はそれぞれ2及び4 ng/L(水試料換算値),OT及びOCの添加回収率はそれぞれ89及び61%であった.本法は水道水,水道原水及び河川水等の水試料に適用可能であった.OCを正確に定量するためには,サロゲート法や標準添加法が必要であった.
水環境,オセルタミビル,オセルタミビルカルボキシレート,固相抽出,LC/MS,分析法

 

<資料>特定建築物におけるテナント専用区域の管理状況調査
 全てを同一会社や関連会社が使用している特定建築物と複数のテナントが使用している特定建築物とでは,その維持管理方法が異なり,複数のテナントが使用している建築物では適切な管理が行われていない場合がある.そこで現状について調査を実施したところ,設備等の維持管理について,ビルの管理者が関わっていないため,管理上問題がある施設の存在が明らかとなった.
建築物衛生法,特定建築物,テナント専用区域,空気調和設備,維持管理

 

<資料>冬期の事務室における温湿度の傾向
 特定建築物の事務室において,平成18~21年度にかけて冬期の居室内,空調吹出し口及び外気の温湿度測定を実施すると共に,居室内設定温度の調査を行った.居室内相対湿度の各年度平均は34~40%であり,全調査期間を通じた平均不適率は56%であった.居室内温度平均は24.6°Cで,設定温度より高い傾向があった.また,吹出し口より居室の温度が高い施設は64%,絶対湿度が高い施設は56%であった.
建築物における衛生的環境の確保に関する法律,特定建築物,空気環境,温度,相対湿度

 

<資料>特定建築物における二酸化炭素濃度不適率上昇の原因と対策
 建築物衛生法では,換気の指標として,特定建築物の居室内の二酸化炭素濃度を1,000 ppm以下とすることが定められている.東京都では昭和46年度より各年度ごとの居室内二酸化炭素濃度の不適率を集計してきた.近年,不適率は上昇傾向にあり,平成21年度には3割を超えた.その原因として,外気のCO2濃度上昇,空調の省エネ運転増加,個別空調方式の増加が考えられ,対策として,外気取入量の増加や個別制御方式空調機の適正な使用方法の周知等が挙げられる.
特定建築物,二酸化炭素濃度,省エネ運転,個別空調方式

 

<資料>カベアナタカラダニの生態観察事例(その3) 地上における産卵場所と卵の形態
 カベアナタカラダニの地上における産卵場所を知るため,2010年3月中旬と,2010年11月から2011年1月にかけて新宿区の当センターの敷地内外において卵の探索を行った.卵はコンクリート壁面の亀裂・間隙から採集された.また,壁と壁の間に挟まれたコンクリート片や,壁面に付着したコンクリート薄片の接触面に卵が多数みられた.卵はまとめて産み付けられ,その近くに成虫の死骸がみられた.ダニ成虫は産卵後その場所で死ぬものと考えられた.卵は長径約0.2 mm,短径約0.15 mmの光沢のある暗赤色の楕円形であった.卵殻は平滑で明瞭な構造物はみられなかった.その下層の卵膜表面には多数の皺がみられた.
カベアナタカラダニ,産卵,壁面,亀裂

 

<資料>カベアナタカラダニから検出された真菌類
 不快害虫カベアナタカラダニと真菌の関係を知るため,このダニから真菌を培養し,その種類を調べた.ダニ体表,及び体表と内部を合わせた総体から様々な真菌,AlternariaAspergillusCladosporiumCurvulariaMucorNeurosporaPenicilliumPithomycesRhizopusが分離された.これらは自然界に広く分布し,土壌等から腐生的に発生するものであった.培地上でダニの口器付近から真菌が生長することが観察され,ダニが真菌を食べていると考えられた.特定の真菌がダニと密接に関係しているとはいえなかった.
カベアナタカラダニ,真菌,培地

 

論文Ⅴ 生体影響に関する調査研究

<原著>4級アンモニウム化合物QUATの経口投与によるマウス胎仔および母体への影響
 家庭用消臭除菌剤に配合されている4級アンモニウム系除菌剤(QUAT),N-Alkyl (60% C14, 30% C16, 5% C12, 5% C18) Dimethylbenzyl Ammonium Chloride とN-Alkyl (68% C12, 32% C14) Dimethyl Ethylbenzyl Ammonium Chloride の等量混合物のマウス胎仔および妊娠母体におよぼす影響を調べた.妊娠9日目の母体に,0(対照群),50,100あるいは150 mg/kg体重のQUATを単回経口投与した.150 mg/kg投与群8匹中の母体1匹が投与後5日目(妊娠14日)に死亡したが,その他の母体の妊娠期間中の母体の体重および摂餌量は対照群と比べて変化なかった.また,生存胎仔数,早期死胚数,後期死胚数やそれぞれの頻度,生存胎仔の母体あたりの総重量および平均重量には変化がなかった.しかし,総生存胎仔平均重量は,100 mg/kg群雌と150 mg/kg群雄で有意に低下していた.150 mg/kg群の胎仔に,眼瞼開裂と多指が1例ずつ観察されたが,その発生頻度は,対照群と比べて有意ではなかった.母体の主要臓器重量や血球検査結果に,投与の影響は見られなかった.
除菌剤,4級アンモニウム化合物,マウス,胎仔,QUAT

 

<原著>4級アンモニウム化合物QUATのin vitro曝露によるマウス胚仔への影響
 家庭用消臭除菌剤に配合される4級アンモニウム系除菌剤(QUAT),N-Alkyl (60% C14, 30% C16, 5% C12, 5% C18) Dimethylbenzyl Ammonium Chloride とN-Alkyl (68% C12, 32% C14) Dimethyl Ethylbenzyl Ammonium Chloride の等量混合物のマウス胚仔に対する毒性を胚仔培養法で調べた.妊娠8日目のマウス母体から,胚仔を脱落膜と羊膜ごと取り出し,24時間予備培養した後,QUATを40あるいは80 µg/mLになるように加え,さらに24時間培養した.羊膜直径の伸張が80µg/mL群で有意に抑えられ,心拍数および胚子長が40および80 µg/mL群で有意に抑えられ,体節数が80 µg/mL群で有意に抑えられていた.また,胚仔形が対照群および40 µg/mL群ではすべて正常なG型だったのに比べて,80 µg/mL群ではG型は9匹中2匹しかなかった.QUAT40あるいは80 µg/mLのin vitroの曝露は,培養胚仔に発育遅延と致死毒性を引き起こした.
除菌剤,4級アンモニウム化合物,マウス,胚仔,QUAT,発育遅延,致死毒性

 

論文Ⅵ 公衆衛生情報に関する調査研究

<原著>日本におけるがん死亡の動向予測
 疾病動向予測システムを用いて2004年に報告した2009年の肺がん,胃がん,乳がん,子宮がんなどの死亡者数の予測値と実測値とを比較し,本システムによる予測の有効性について検証を行った.その結果,ほとんどのがんで死亡者数の予測値は実際の値の±10%以内になっており,コーホート変化率法に準拠した本システムによる予測の有効性を検証できた.
 本システムを用いて,がんによる死亡者数を2024年まで予測した.2024年における年間死亡者数の予測結果は,次のとおりである.全がん:男子21万人,女子15万人.食道がん:男子1.1万人,女子0.2万人.胃がん:男子2.5万人,女子1.2万人.結腸がん:男子1.5万人,女子1.5万人.直腸がん:男子0.8万人,女子0.5万人.肝臓がん:男子1.2万人,女子0.8万人.胆のうがん:男子0.9万人,女子0.7万人.膵臓がん:男子1.8万人,女子2.0万人.肺がん:男子5.5万人,女子2.4万人.白血病:男子0.5万人,女子0.3万人.前立腺がん:男子1.0万人.乳がん:女子1.5万人.子宮がん:女子0.6万人.
がん,死亡者数,年次推移,日本,疾病,動向予測,人口動態統計,世代マップ

 

論文Ⅶ 精度管理に関する調査研究

<資料>東京都衛生検査所病理組織検査における精度管理の現状と問題点  −平成18~21年度自記式アンケートによる調査結果−
 都内衛生検査所における病理組織標本作製過程の現状について,平成18年度から平成21年度まで自記式アンケート方式による調査を4回行った.多くの衛生検査所は検体の不適切な固定や識別不能,また,薄切時にスライドグラスへの検体番号記入ミスや切片の拾い間違いなどのトラブルに遭遇していることが判明した.発生要因として衛生検査所だけではなく,検体の依頼元である医療機関の精度管理体制にも問題があることが把握できた.
精度管理,衛生検査所,病理組織検査,病理組織標本作製,自記式アンケート調査

 

<資料>平成22年度 東京都水道水質外部精度管理調査結果について −水銀及びトリハロメタン
 東京都では,「東京都水道水質管理計画」に基づき,東京都健康安全研究センターが中心となって,水道事業者及び厚生労働大臣の登録を受けた水道水質検査機関を対象とした外部精度管理を実施している.平成22年度は,水銀及びトリハロメタン(クロロホルム,ジブロモクロロメタン,ブロモジクロロメタン及びブロモホルム)について外部精度管理を実施した.
 水銀では参加46機関のうち,4機関が判定基準外となった.機関内変動係数は,1機関が10.1%と判定基準外であったが,他の機関は7%以下であった.判定基準外となった原因は,不良な器具や機器の使用,標準液と測定条件が異なる状態での試験溶液の測定,再現性で劣るピーク面積による定量計算であった.
 トリハロメタンでは参加46機関のうち,3機関が判定基準外となった.機関内変動係数は,全ての機関でクロロホルム,ブロモジクロロメタンとも6%以下であった(ジブロモクロロメタン,ブロモホルムは無添加.).判定基準外となった原因は,ジブロモジクロロメタンとブロモジクロロメタンの取り違え,カラムの劣化又は機器の整備不良であった.
外部精度管理,水道水,水銀,トリハロメタン,クロロホルム,ジブロモクロロメタン,ブロモジクロロメタン,ブロモホルム,zスコア,誤差率,変動係数
東京都環境放射線測定サイト 東京都感染症情報センター 東京都健康安全研究センターサイト
(このホームページの問い合わせ先)
tmiph<at>section.metro.tokyo.jp
※<at>を@に置き換えてご利用ください。
また、個別にお答えしかねる場合も
ありますので、ご了承ください。
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