研究年報 第60号(2009)和文要旨

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和文要旨
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総説

既存添加物の分析と問題点 —天然着色料—
 我が国における既存添加物の法的規制や性質に関して,様々な問題点について概説した.食品や既存添加物の安全性確保のため,使用や品質実態を調査する必要がある.そこで,食品中の既存添加物及び既存添加物製剤中の主成分及び不純物の分析方法を開発し,分析を行った.食品中の天然着色料の分析では,かに風かまぼこからベニコウジ色素,ラック色素,アナトー色素等がTLCにより検出された.ラック色素製剤中の主成分はラッカイン酸A, B等がHPLC,LC/MSにより検出された.クロロフィル色素製剤中の不純物として光過敏症原因物質のフェオフォルバイドが検出され,ブドウ果皮色素からはキャピラリー電気泳動(CE)により添加物として二酸化イオウがそれぞれ検出された.クロロフィル色素製剤では5年後に製造された製品から検出されず,ブドウ果皮色素中の二酸化イオウは規格値以内であった.
既存,食品添加物,製剤,天然着色料,食品,分析,TLC,HPLC,LC/MS,CE

 

違法ドラッグ生体影響試験の開発
 違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)の乱用は,使用者の健康被害にとどまらず,傷害事件を誘発するなど,大きな社会問題となっている.東京都は平成17年(2005),国に先駆けて「東京都薬物の濫用防止に関する条例」を制定し,これまでに9種類のドラッグを知事指定薬物に指定した.東京都健康安全研究センターでは,ドラッグを知事指定薬物とするために必要な,ドラッグの危険性に関する情報の分析及び評価資料の一つとして,ドラッグの構造決定,純度試験,動物へ投与した際の行動および神経症状観察,中枢神経系への影響を調べ,その結果を科学的根拠に基づくドラッグの評価資料として提供している.本総説では,ドラッグの生体影響を調べるために開発したin vitroおよびin vivoスクリーニング法を紹介すると共に,これらの方法で調べたドラッグの作用について報告する.
違法ドラッグ,行動,神経症状,神経伝達物質,再取り込み阻害作用,遊離促進作用,G-タンパク結合作用,マイクロダイアリシス,自発行動,小動物行動測定装置

 

論文Ⅰ 感染症等に関する調査研究

<原著>東京都において分離されたサルモネラの血清型について(2000年-2008年)
 2000年から2008年に東京都健康安全研究センター並びに都・区検査機関等で分離されたヒト由来のサルモネラ(Salmonella)1,410株の血清型について検討した.チフス菌(S. Typhi)は62株(輸入事例由来55株,国内事例由来7株),パラチフスA菌(S. Paratyphi A)は29株(輸入事例由来27株,国内事例由来2株)検出された.その他のサルモネラは1,319株検出され,そのO群別内訳は,O7群32.1%,O4群23.7%,O9群16.1%,O8群15.8%の順であった.主な血清型はS. Enteritidis(15.2%),S. Thompson(7.3%),S. Typhimurium(6.1%)であった.
サルモネラ,チフス菌,パラチフスA菌,血清型,Salmonella,Typhi,Paratyphi A,Enteritidis,Typhimurium,serovar

 

<原著>IS6110が1コピーの株による結核感染事例のVariable Numbers of Tandem Repeats法を用いた分子疫学的解析
 結核感染事例のうち,IS6110が1コピーの株による事例について,VNTR法等で型別試験を実施し,型別性能を比較検討した.10事例より分離された14株は,RFLP法では約5 kbpに一本バンドを示し,各株ともほぼ同じ分子量で,事例内,事例間の区別ができなかった.従来より1コピー株の解析に用いてきたPGRS法では,事例ごとにパターンが異なり,事例間の区別をすることができた.VNTR法を用い多重反復配列37領域の検査を実施したところ,PGRS法と同等の区別をすることができた.VNTR法は,PGRS法に比べ手技が簡単で,結果が迅速に得られ,データベース化も容易であり,1コピーの株の解析にも有用であることから,今後の結核菌型別試験の標準法となることが予想される.
RFLP法,IS6110,1コピー,PGRS法,VNTR法

 

<原著>狂犬病診断のための遺伝子検査法の改良
 国内への侵入が危惧されている狂犬病の診断のために,リアルタイムPCR法を構築し,さらに現行法であるRT-PCR法の感度,特異性を向上するためにRT-nested PCR法への改良を試みた.リアルタイムPCR法ならびにRT-nested PCR法により,従来法より検出感度が1000倍向上した.同時に,RT-nested PCR法は,その増幅産物の遺伝子解析を行うことで疫学解析も可能であった.また,リアルタムPCR法とRT-nested PCR法を組み合わせることで,迅速かつ的確な狂犬病検査対応が可能となった.
狂犬病,狂犬病ウイルス,RT-PCR法,RT-nested PCR法,リアルタイムPCR法,N遺伝子

 

<原著>都内における胃腸炎集団発生例のウイルス検索(平成19‐20年度)
 平成19年度と20年度に都内で確認された胃腸炎集団発生例1,364事例において,ノロウイルス等の胃腸炎起因ウイルスの検索を行った.その結果,1,364事例中693事例(50.8%)からウイルスが検出され,ノロウイルスが大多数を占めていた.発生施設別に比較すると,低年齢層が利用する施設において,ロタウイルス等の単独事例や混合事例が比較的多く確認された.ノロウイルスの遺伝子型は,平成19年度はGII/4型が主流であったのに対し,平成20年度はGII/4型に加えてGII/3型やGII/6型も流行した.
ノロウイルス,食中毒,感染性胃腸炎,集団発生,遺伝子疫学

 

<原著>季節性インフルエンザウイルスにおけるオセルタミビル耐性遺伝子変異の検出(2007/08,2008/09シーズン)
 新型インフルエンザ対策において,オセルタミビル耐性遺伝子変異の調査は極めて重要である.我々は,NAタンパク質の275位のアミノ酸がヒスチジンからチロシンに置換された部位(H275Y)を含むアミノ酸変異を検出する方法として,RT-nested PCR法およびシークエンスを用いた方法を開発した.この方法を用いて東京都内で分離されたインフルエンザウイルス191株を調査したところ,2008/09シーズンに分離されたA/H1N1亜型ウイルスの64株すべてでH275Yのアミノ酸がみられた.一方,2007/08シーズンに分離されたA/H1N1亜型ウイルスの84株,2008/09シーズンに分離されたA/H3N2亜型ウイルス26株およびB型ウイルス17株では,オセルタミビルによる耐性変異は認められなかった.東京都では新型インフルエンザ対策として,400万人分のオセルタミビルおよびザナミビルを備蓄しており,今後も都内における薬剤耐性変異の調査を継続していく必要がある.
インフルエンザ,ノイラミニダーゼ阻害剤,オセルタミビル耐性遺伝子,アミノ酸変異 H275Y

 

<資料>東京都におけるインフルエンザの流行状況(2008/09シーズン)
 2008/2009シーズンに東京都の感染症発生動向調査事業により病原体定点病院から搬入されたインフルエンザ疑いの患者検体287件について,遺伝子検査(PCR)およびウイルス分離試験を行った.その結果,遺伝子検査によりA/H1亜型108件,A/H3亜型57件,B型59件が検出され,分離試験ではA/H1亜型38件,A/H3亜型20件,B型43件が検出された.これら流行株のワクチン株との類似性を調べた結果,A/H1亜型,A/H3亜型で類似性が見られたが,B型ではワクチン株との類似性は見られなかった.
病原体定点医療機関, インフルエンザウイルス, 遺伝子解析, ウイルス分離試験

 

<資料>東京都におけるウエストナイルウイルス及び日本脳炎ウイルスを媒介する蚊の生息状況
 ウエストナイルウイルス及び日本脳炎ウイルスを媒介する蚊の都内における生息状況を把握するため,2007年6月から2007年12月まで及び2008年4月から2008年12月までの期間に都内の2定点において蚊の捕集を行った.その結果,3,380匹の蚊が捕集され,これら捕集蚊はアカイエカ,ヒトスジシマカ及びコガタアカイエカ等のウエストナイルウイルス及び日本脳炎ウイルスを媒介する蚊であった.これら蚊の捕集期間は,アカイエカが4月から12月まで,ヒトスジシマカが6月から10月まで,コガタアカイエカが8月から11月までであった.また,今回,捕集した蚊について,ウエストナイルウイルス及び日本脳炎ウイルスの保有の有無を調査した結果,全てでウイルスを保有していないことを確認した.
ウエストナイルウイルス.日本脳炎ウイルス,フラビウイルス,蚊,アカイエカ,ヒトスジシマカ, コガタアカイエカ

 

論文Ⅱ 医薬品等に関する調査研究

<原著>平成20年度薬物分析調査について
 平成20年度に行った薬物分析調査の結果を報告する.調査したケミカル系ドラッグ製品54検体のうち,違法ドラッグは40検体から16種類検出されたが,2種以上の薬物を含有する製品も14検体あった.検出薬物の内訳は,麻薬が1種,薬事法指定薬物が2種,新規薬物が2種,既知薬物が11種であった.検出された新規薬物は1-(4-fluorophenyl) piperazine(4FPP)及び亜硝酸化合物である.LC/PDA,EI/MS,HR-TOF/MS及びNMR等により構造決定し,種々のデータを得たので報告する.検出後,麻薬に指定されたものが1種,薬事法指定薬物となったものが5種あった.
違法ドラッグ,1-(4-fluorophenyl)piperazine,4FPP,亜硝酸化合物

 

<原著>後発医薬品の品質確保 −溶出試験を中心とした品質試験結果−
 後発医薬品の品質確保を目的として,医療用内用固形製剤のうちファモチジン錠,プラバスタチンナトリウム錠,ロキソプロフェンナトリウム錠,ドキサゾシンメシル酸塩錠,メキタジン錠,ニカルジピン塩酸塩錠,プロピベリン塩酸塩錠の7品目103製剤について先発医薬品と後発医薬品の品質確認を行った.承認規格試験を実施した結果,後発医薬品1製剤を除き全て適合し,品質が確保されていることが分かった.しかし,規格試験に適合した製剤でも値のバラツキがあるものが認められた.また,6品目の製剤について,溶出性の規格条件により溶出曲線を作成した結果,先発医薬品の標準製剤との溶出挙動が異なると思われる製剤が認められた.
後発医薬品,先発医薬品,内用固形製剤,品質,承認規格試験,溶出挙動

 

<原著>健康食品に配合されるCassia属植物の鑑別
 健康食品に配合されているCassia属植物カッシア・アラタ (C.alata),カッシア・コリンボサ(C.corymbosa)及び医薬品のセンナ(C.angustifolia)の葉の粉末試料での鏡検による鑑別方法を検討した.この3種は次のような特徴的な要素で鑑別できる.すなわちカッシア・アラタの短く真直ぐな単細胞毛,表皮細胞の突起,分岐のある葉脈断片,カッシア・コリンボサの多細胞毛,葉緑体のない縁の細胞,センナの厚膜の曲がった単細胞毛,表皮細胞の形状,分岐のない葉脈の断片等である.なお,カッシア・アラタとセンナの葉からはセンノシドA,Bが検出されるが,カッシア・コリンボサからは検出されない. また,センナの葉,茎,果実各部位の粉末試料について,鏡検による鑑別方法を検討したところ,部位ごとにセンナ特有の単細胞毛の数に明らかな差を認める.よって,この単細胞毛の数と,各部位に特徴的な組織を確認することは,食品として認められているセンナ茎と医薬品であるセンナ葉,果実の鑑別に有効である.
健康食品,鏡検,鑑別,カッシア・アラタ Cassia alata,カッシア・コリンボサ C. corymbosa,センナ C.angustifolia,センノシドA,センノシドB,単細胞毛

 

<原著>医薬部外品および化粧品中の紫外線吸収剤の分析に関する研究(第2報) ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン,ホモサレートおよび メチルベンジリデンカンファを含む17成分同時分析法
 ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)は化粧品に配合可能な紫外線吸収剤として,新規にポジティブリストに追加された成分である.著者らはこれまでに医薬部外品および化粧品中の紫外線吸収剤のHPLCによる同時分析法について報告してきたが,今回,BEMTのほかホモサレート,メチルベンジリデンカンファを加えた17成分について,分析法の改良を行った.その結果,移動相のグラジェント条件を改良することにより,従来と同一の時間内に17成分をほぼ良好に分離することができた.また,この分析法を市販製品に適用したところ,夾雑物の影響もなく分析することができた.
紫外線吸収剤,ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン,ホモサレート,メチルベンジリデンカンファ,HPLC,医薬部外品,化粧品,同時分析

 

<資料>化粧品に含有されるタルク中のアスベスト
 化粧品に配合されるタルク中のアスベスト(トレモライト及びクリソタイル)について,半導体アレイ検出器を装備したX線回折装置を用い,低濃度での測定を検討した.その結果,トレモライトは0.1%,クリソタイルは0.2%まで検出が可能になり,トレモライトは0.1~0.5%,クリソタイルは0.2~0.8%の範囲で定量可能であった.本法によりタルカムパウダー,アイシャドー等市販のタルクを配合した化粧品 36 検体を調査した結果,クリソタイル及びトレモライトは検出されなかった.
アスベスト,トレモライト,クリソタイル,タルク,化粧品,X線回折装置

 

<資料>超音波厚さ計の医療機器試験への応用 −コンタクトレンズを中心として−
 医療機器試験においては,市販されている専用の試験機器がほとんどなく,自作するか既存の機器を利用しなければならない場合が多い.今回,超音波厚さ計を応用して,コンタクトレンズを中心に医療機器の試験を試みた.コンタクトレンズの物理試験のうち特にソフトコンタクトレンズの中心の厚さ測定については,レンズ中心が求めにくいなど,これまでは測定上の問題点があった.さらに,ベースカーブについては適当な試験機器がなく,試験が実施できなかった.そこで超音波厚さ計を用いて,非破壊かつ非接触でコンタクトレンズの中心の厚さ及びベースカーブの測定を試みた.生理食塩水中に試料載台を置き,その下に浸水性プローブをはめ込むようにして,20MHz近傍に極大スペクトルを有するトランスデューサにより測定した結果,承認基準を満足する良好な結果を得ることができた.このことから,超音波厚さ計がコンタクトレンズの中心の厚さ及びベースカーブ測定に十分適用できるものと考えられた.
医療機器,コンタクトレンズ,厚さ,ベースカーブ,超音波厚さ計

 

論文Ⅲ 食品等に関する調査研究

<原著>GC及びGC/MSによる食品中のジエチレングリコール,エチレングリコール及び プロピレングリコールの分析
 食品中のジエチレングリコール,エチレングリコール及びプロピレングリコールのGC及びGC/MSによる一斉分析法を検討した.試料をn-ヘキサンで脱脂してメタノールで抽出後,固相抽出カートリッジ(SAX/PSA)を用いて精製したものを試験溶液とした.各成分はGC/FIDで定量をし,GC/MSを用いて確認を行った.カラムにはいずれもDB-WAXを用いた.各種食品を用いた添加回収試験において82~109%の回収率が得られ,GC/MSによる確認が可能であった.検出限界値は試料あたり10 µg/gであった.
ジエチレングリコール,エチレングリコール,プロピレングリコール,GC,GC/MS,食品

 

<原著>固相抽出を用いたベニコウジ色素中のシトリニンの分析
 イオン交換固相抽出カートリッジカラム(Bond Elut SAX 500 mg)を用いたベニコウジ色素中のシトリニンの分析法を検討し,簡易で精度の良い分析法を確立した.妨害成分を酢酸/メタノール(2:8)混液で溶出後,シトリニンを10%(v/v)トリフルオロ酢酸溶液/アセトニトリル(6:4)混液で溶出し,HPLCで測定した.添加回収試験を行ったところ回収率は84%以上,定量限界は0.04 µg/gであった.市販ベニコウジ色素を分析したところ,すべて公定書の規格値以下であった.
ベニコウジ色素,モナスカス色素,シトリニン,固相抽出,食品添加物公定書,カビ毒,食品添加物,高速液体クロマトグラフ(HPLC)

 

<原著>畜水産食品中のアルジカルブ及びその代謝物の分析
 畜水産食品中のアルジカルブ及びその代謝物のアルジカルブスルホキシド,アルジカルブスルホンの分析法を検討した.試料からアセトンで抽出し,ジクロロメタンに転溶後,アセトニトリル/ヘキサン分配により脱脂操作を行った.次いでSAX/PSAカートリッジカラムに負荷し,アセトン−n-へキサン混液で溶出して精製を行った.測定にはポストカラム反応蛍光検出器付きHPLCを用いた.畜水産食品にこれらの化合物を0.02 mg/kg添加したときの回収率は73.3 %~104.0 %であり,定量限界は0.005~0.01 mg/kgであった.本分析法は畜水産食品を対象とした残留農薬の個別分析法として十分適用できると考える.
アルジカルブ,アルジカルブスルホキシド,アルジカルブスルホン,アルドキシカルブ,代謝物, 畜水産食品,残留農薬,HPLC,ポストカラム反応システム,蛍光検出

 

<原著>LC-MS/MSによる鰻・鰻加工品中のトリフェニルメタン系色素の分析
 LC-MS/MSによる鰻・鰻加工品中のトリフェニルメタン系色素及びそれらの代謝物のマラカイトグリーン,ロイコマラカイトグリーン,クリスタルバイオレット,ロイコクリスタルバイオレット,ブリリアントグリーンについてマラカイトグリーン告示分析法による一斉分析を検討した.本法による添加回収試験結果は,回収率93.2~109.0%,変動係数5.6~9.2%であった.本法を用いて2005年8月~2008年7月の間に都内で流通した鰻・鰻加工品中のトリフェニルメタン系色素及びそれらの代謝物の分析を行った結果,食品衛生法に違反する試料はなかった.
マラカイトグリーン,ロイコマラカイトグリーン,クリスタルバイオレット,ロイコクリスタルバイオレット,ブリリアントグリーン,液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法,鰻,鰻加工品

 

<原著>LC-FL及びLC-MS/MSによる食肉中の イベルメクチン,エプリノメクチン,ドラメクチン及びモキシデクチンの分析
 平成18年度~平成20年度の間に都内で流通した食肉247試料について,LC-FLを用いた厚生労働省の通知法に準拠してマクロライド系寄生虫駆除剤(イベルメクチン,エプリノメクチン,ドラメクチン及びモキシデクチン)の分析を行った.その結果,食品衛生法に違反する試料はなかったものの,羊肉1試料からモキシデクチンの保持時間付近に定量限界濃度以下のピークが検出された.そこで,LC-MS/MSによるマクロライド系寄生虫駆除剤の測定条件の検討を行い分析を行ったところ,羊肉から検出されたピークがモキシデクチンであることが確認できた.
イベルメクチン,エプリノメクチン,ドラメクチン,モキシデクチン,液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法,食肉

 

<資料>東京都民の食事からの食品添加物一日摂取量調査(安息香酸,ソルビン酸, パラオキシ安息香酸エステル類,アスパルテーム,サッカリン及びアセスルファムカリウムについて)
 「平成16年東京都民の健康・栄養状況」における「食品群別にみた食品摂取量」に基づき,各食品を14食品群に分類した後,実際の食形態に合わせて加工調理し,東京都民の食品添加物一日摂取量調査を行った.分析対象の食品添加物は,FAO/WHO合同食品添加物専門家会議で一日摂取許容量が示されている,保存料7種類(安息香酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸エステル類5種~パラオキシ安息香酸エチル,i-プロピル,n-プロピル,i-ブチル,n-ブチル~),及び甘味料3種類(アスパルテーム,サッカリン,アセスルファムカリウム)とした.その結果,体重1 kg当たりの一日摂取量はそれぞれ安息香酸44.0 µg,ソルビン酸140.9 µg,アスパルテーム3.5 µg,アセスルファムカリウム0.44 µgであった.いずれもFAO/WHO合同食品添加物専門家会議で示された一日摂取許容量を下回った.なお,パラオキシ安息香酸エステル類及びサッカリンはいずれの食品群からも検出されなかった.
食品添加物,一日摂取量,安息香酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸エステル類,アスパルテーム, サッカリン,アセスルファムカリウム

 

<資料>食品製造機械用潤滑剤中の鉛及びヒ素の分析
 食品製造機械用及びその他の潤滑剤について,鉛及びヒ素の含有量調査を行った.試験法について検討し,鉛は,JIS K 2255-1995石油製品-ガソリン-鉛分試験方法に準じた方法,ヒ素は食品添加物流動パラフィンの試験法を用いた.定量限界は,いずれも2 µg/gであった.57試料 (食用油脂8試料,食品添加物2試料,食品製造機械用潤滑剤12試料,一般機械用潤滑剤35試料) について調査したところ,ヒ素はいずれの試料からも検出されなかったが,鉛が1試料から380 µg/g 検出された.鉛が検出された製品は一般機械用の製品であったが,食品製造機械に使用された場合,混入により食品を汚染する可能性が危惧された.
食品製造機械用潤滑剤,鉛,ヒ素,JIS規格,間接食品添加物,国際衛生化学財団,米国連邦規則集,原子吸光光度計

 

<資料>国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査 −平成20年度−
 平成20年4月から平成21年3月に都内に流通していた国内産農産物20種39作物(慣行栽培農産物10種19作物及び有機栽培農産物12種20作物)について残留農薬実態調査を行った.その結果10種16作物(検出率:41%)から殺虫剤及び殺菌剤を合わせて17種類の農薬(有機リン系農薬4種類,有機塩素系農薬4種類,ピレスロイド系農薬4種類,含窒素系及びその他の農薬5種類)が痕跡(0.01 ppm未満)~0.37 ppm検出された.食品衛生法の残留基準値及び一律基準値(0.01 ppm)を超えたものはなかった.
残留農薬,国内産農産物,野菜,果実,殺虫剤,殺菌剤,慣行栽培農産物,有機農産物

 

<資料>多摩地域産農産物中の残留農薬実態調査 −平成19年度及び20年度−
 平成19年度から20年度に多摩地域で市販された多摩地域産90試料及びその他の地域産(国産)50試料, 計140試料の農産物について有機塩素系,有機リン系など93種の農薬成分に関し残留実態調査を行った.その結果,多摩地域産13試料から延べ16農薬成分が検出された.また,その他の地域産11試料から延べ14農薬成分が検出された.これらのうち,多摩地域産きゅうりとその他の地域産なす各1試料で残留基準値を超えてディルドリンとEPNがそれぞれ検出された.また,多摩地域産未成熟いんげんとしゅんぎくで適用外農薬が検出された.
残留農薬,多摩地域,農産物,有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬,含窒素系農薬

 

<資料>輸入農産物中の残留農薬実態調査(有機リン系農薬及び含窒素系農薬)  −平成20年度−
 平成20年4月から平成21年3月に都内に流通していた輸入農作物66種310検体について,有機リン系農薬および含窒素系農薬の残留農薬実態を調査した.有機リン系農薬は殺虫剤14種類及び殺菌剤1種類が18種46作物から検出され,また含窒素系農薬は殺虫剤4種類,殺菌剤16種類及び除草剤2種類が25種41作物から検出された.これら残留量は痕跡~0.52 ppmであった.ジフェノコナゾールがベトナム産未成熟えんどうから一律基準値を超えて検出された.
残留農薬,輸入農産物,有機リン系農薬,含窒素系農薬,殺虫剤,殺菌剤,除草剤

 

<資料>輸入農産物中の残留農薬実態調査   (有機塩素系農薬,N-メチルカルバメート系農薬及びその他)  −平成20年度−
 平成20年4月から平成21年3月に東京都内の市場等で購入した輸入農産物66種310作物について,有機塩素系農薬,N-メチルカルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬及びその他の農薬の残留実態調査を行った.有機塩素系農薬では,5種類の殺虫剤及び4種類の殺菌剤が,16種28作物(検出率9%)から検出された.N-メチルカルバメート系農薬では,1種類の殺虫剤が,1種1作物(0.3%)から検出された.ピレスロイド系農薬では,7種類の殺虫剤が14種20作物(6%)から検出された.その他の農薬では,2種類の殺虫剤,3種類の殺菌剤,1種類の除草剤及び1種類の農薬共力剤が9種44作物(14%)から検出された.残留量は0.01 ppm未満~3.6 ppmであった.いずれの残留量も購入時における食品衛生法の残留基準値及び一律基準値以下であった.
残留農薬,輸入農産物,有機塩素系農薬,N-メチルカルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,農薬共力剤

 

<資料>魚介類中のPCB含有量実態調査 −2006~2008年度−
 ポリ塩化ビフェニール(PCB)による食品汚染状況を調査するため,東京都中央卸売市場に入荷した魚介類(輸入魚介類を含む)について含有量調査を行った.また,環境汚染状況を把握する指標として,東京湾産スズキ中のPCB含有量を調査した.2006~2008年度における調査の結果,市場入荷魚介類については,遠洋沖合魚介類および内海内湾魚介類のいずれにもPCB含有量が暫定的規制値を超えて検出されるものはなく,PCBが検出される魚種の傾向はこれまでの調査結果とほぼ同様であった.また,東京湾産スズキにも暫定的規制値を超えるものはなく,PCB含有量は0.2 ppm前後の値を示し,1990年以降ほぼ横ばいの傾向であった.
ポリ塩化ビフェニール,PCB,食品汚染,魚介類,環境汚染,スズキ

 

<資料>輸入食品中の放射能濃度(平成20年度)
 チェルノブイリ原発事故に由来する放射能汚染食品の実態を明らかにするため,平成20年4月から平成21年3月までに都内で流通していた輸入食品等329検体について調査した. 放射能の暫定限度値(セシウム134及び137の合計値)370 Bq/kgを超えて検出されたものはなかったが,キノコ5検体から68~300 Bq/kg及びブルーベリーの加工品3検体から54~86 Bq/kgの放射能が検出された.これらの原産国はフランス,ベルギー,イタリア及びポーランドであった.
チェルノブイリ原発事故,放射能汚染,輸入食品,調査,セシウム,キノコ,ブルーベリー加工品,ヨウ化ナトリウム検出器,ゲルマニウム半導体検出器

 

<資料>食品中の特定原材料(卵,乳,小麦,そば,落花生)の検査結果   −平成20年度−
 平成20年度に当センターで行った,東京都内で製造された食品中の卵,乳,小麦,そば,落花生および市販食品中の落花生を対象とした特定原材料の検査結果を報告する.東京都内で製造された食品について,卵を対象として7検体,そばを対象として3検体,落花生を対象として8検体検査した結果,いずれも陰性であった.乳を対象として11検体,小麦を対象として12検体検査した結果,それぞれ1検体が陽性であった.これら陽性であった検体はいずれも原材料表示に検査対象となる原材料の記載はなかった.また,市販食品34検体について落花生を対象として検査を行ったところ,原材料表示に落花生の記載のあるピーナッツオイルでスクリーニング試験,確認試験共に陰性であったが,その他の食品では表示と一致していた.
食物アレルギー,特定原材料,ELISA法,ウエスタンブロット法, PCR法,卵,乳,小麦,そば,落花生

 

<資料>化学物質及び自然毒による食中毒等事件例(平成20年)
 平成20年に発生し,原因物質の究明を行った化学物質及び自然毒による食中毒等の事例のうち,スポーツ飲料中に溶け出した銅を喫食して頭痛,めまい,吐き気などの症状を呈した有症苦情,マグロのケチャップ和えを喫食して発赤,発熱,頭痛などを呈した例などヒスタミンによる食中毒等5例,バイケイソウ類の天ぷら等を喫食して吐き気,嘔吐,血圧低下などの症状を呈した食中毒,ツキヨタケを喫食して嘔吐,腹痛,下痢などの症状を呈した食中毒,フグ肝臓を喫食して舌・手足のしびれ,喉の腫れ,呼吸困難などの症状を呈したフグ毒による食中毒,アジサイの葉を食べて嘔吐,寒気などの症状を呈した有症苦情の10例について報告する.
化学性食中毒,銅,カジキマグロ,サンマ,ブリ,マグロ,ヒスタミン,バイケイソウ類,ツキヨタケ,フグ,アジサイ

 

<資料>食品苦情事例(平成20年度)
 平成20年度に実施した一般食品苦情に関わる検査89件の中から顕著な事例5件を選び報告した.(1) みかん缶詰中の砂様の粒状物を,砂粒,合成ゴム片および木片の混合物であると同定した.(2) 干しうどんに混入した伸縮性のある糸状物を,ポリウレタン繊維であると同定した.(3) ミネラルウォーター中の沈殿物を,海苔片であると推定した.(4) 食パンに混入していた針金を,ステンレス鋼製金網の一部であると同定した.(5) クレヨン様臭があり,喫食して気分が悪くなった,ポテトチップスの酸価,過酸化物価を測定し,それぞれ9.4,430の高い値を得た.
食品苦情,異物混入,砂,ポリウレタン繊維,海苔,針金,金網,酸価, 過酸化物価,ポテトチップス

  

<資料>食品の苦情事例 —平成18-20年度 多摩—
 平成18~20年度に発生した苦情事例の中から異臭2例及び異物3例について調査,検証(分析)した結果をまとめた.異臭事例では団子からp-ジクロロベンゼンが2.4~3.4 µg/g,干しエビから揮発性塩基窒素が403 Nmg%検出された. 落花生中からの異物は参考品の脱酸素剤,パン中からの異物はポリエチレンの袋,合成樹脂製手袋と一致した.それぞれの分析はガスクロマトグラフィー質量分析,蛍光X線分析,フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析などを組み合わせて行った.
食品,苦情,異臭,異物,p-ジクロロベンゼン,ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS),揮発性塩基窒素,脱酸素剤,蛍光X線分析,フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析(FTIR),可視部吸収スペクトル測定

 

<資料>食品に混入し苦情となった虫類の検査結果(平成18~20年度)
 当センターで平成18年度から同20年度にかけて,食品に混入し苦情となった92検体の虫類を同定した.虫類の異物混入による苦情検体は年間を通して持ち込まれた.苦情食品として複合調理食品,農産加工品食品,パン・菓子類が多かった.外国が関与している食品では中国のものが最も多かった.鱗翅目,双翅目,鞘翅目,膜翅目,網翅目の昆虫が全検体数の約8割を占めた.食品害虫だけでなく,食品に偶然に混入する迷入害虫も苦情原因の大きな割合を占めた.ノシメマダラメイガが最も多くみられ,タバコシバンムシとチャコウラナメクジがそれに次いだ.最大長が5 mmから10 mmの範囲の虫類が,異物として最も多く持ち込まれた.カタラーゼ試験により虫類が調理中または飲食中に食品に混入する場合もかなりあることがわかった.
食品苦情,異物混入,昆虫,カタラーゼ試験

 

論文Ⅳ 生活環境に関する調査研究

<原著>建材中アスベストの効率的分別と金属分析による含有率測定
 アスベスト含有建材について,効率の良いセメント除去法及び金属成分を指標としたアスベスト測定法を検討した.その結果,ぎ酸,酢酸を用いた加温処理等により,99%以上のセメント除去が可能であった.次に,フッ化水素酸及び塩酸によりアスベストを溶解して金属を分析した結果,ナトリウム,マグネシウム,鉄の存在比によりアスベストの種類の同定が可能となった.クリソタイルではマグネシウムを,クロシドライト及びアモサイトでは鉄を指標とした場合,アスベスト含有率の定量下限値はそれぞれ0.05%,0.25%であった.
建材,アスベスト,クリソタイル,クロシドライト,アモサイト,イオンクロマトグラフィー,マグネシウム,鉄,ナトリウム

 

<原著>新築住宅における高濃度化学物質の傾向
 竣工後半年以内の新築住宅25居室について,化学物質69種類の空気中濃度を測定した.その結果を,厚生労働省により設定されている室内濃度の指針値及び総揮発性有機化合物濃度の暫定目標値,400 µg/m3と比較した.ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエン,スチレンが指針値を超え,指針値のない未規制物質では,α-ピネン,リモネン,メチルシクロヘキサン,トリメチルベンゼン,テキサノール等15物質が単独でも400 µg/m3を超えた.最近の新築住宅においては,このような未規制物質が高濃度になる傾向があることが分かった.
室内空気,新築,未規制物質,揮発性有機化合物,アップテイクレート,α-ピネン,リモネン,トリメチルベンゼン

 

<資料>河川水中の医薬品の分析法
 河川水中の医薬品を固相抽出法により抽出・濃縮後,GC/MSまたはLC/MSで分離定量する分析法について検討した.分析対象は解熱鎮痛消炎剤,高脂血症薬,抗アレルギー薬,抗てんかん薬,高血圧症治療薬,糖尿病治療薬および精神科用薬の105医薬品であった.本分析法ではスルピリン,ヒドララジン,ピンドルールおよびメチルドーパの回収率はいずれも8%以下と低く,これらの分析は不可能であった.一方,その他の101医薬品については,回収率が37~200%と広範囲に及んだが,変動係数は23%以下と比較的良好であり,実態調査に適用可能であった.しかし,定量に際して回収率が120%を超えるものや80%に満たないものは標準添加法により定量する必要があることが示唆された.
医薬品,河川水,分析,GC/MS,LC/MS

 

<資料>カベアナタカラダニの生態観察事例(その2) 産卵期の生態
 大量に発生し住民に著しい不快感を及ぼしているカベアナタカラダニの産卵期の生態について調査した.採集した試料からはオスがみつからず,ほとんどの個体が単為生殖を行っていると思われた.建物の壁やタイル面に徘徊し体内に卵を保有している成虫の卵数を調べると.卵を1つ持っている個体が最も多いことがわかった.少数の個体は10個以上の卵を持っており最多は22個であった.このダニは体内に卵ができるに伴い,這い回らなくなるように思われた.建物の屋上において卵は壁面にある間隙から多数採集された.ダニが這いまわっているコンクリート床面,床面上の土壌やコケは,屋上では主要な産卵場所ではないことがわかった.屋上では隙間を無くし,ダニの潜入を防ぐことが,このダニの防除につながるものと思われる.
カベアナタカラダニ,産卵,単為生殖,屋上

 

<資料>多摩地域における浴槽水及びプール水からのレジオネラ属菌検出状況(平成19~20年度)と Loop-mediate isothermal amplification(LAMP)法の応用
 平成19~20年度に,多摩地域に所在する施設の浴槽水1,737件とプール水659件のレジオネラ属菌検出状況を調査した.基準値(10 CFU/100 mL未満)を超えていた浴槽水は19年度6.8%,20年度5.5%,プール水は1.2%,0.8%,ジャグジー水は9.2%,11.9%であった.一方,基準値は満たしていたものの両年度で浴槽水の10.1%,プール水の5.1%,ジャグジー水の22.8%からもレジオネラ属菌を検出した.また,冷凍保存試料552件の検査結果では,培養法で基準値以上であった94件中, 84件はLAMP法でも陽性で培養法と一致したが,10件は陰性で反応阻害物質の関与が示唆された.培養法で検出限界値未満の347件中,122件がLAMP法では陽性でレジオネラ属菌の遺伝子を検出したことから,LAMP法は確実なレジオネラ感染防止対策の指標として有用であると考えられた.
レジオネラ属菌,公衆浴場,浴槽水,プール水,遊離残留塩素,血清群,LAMP法

 

論文Ⅴ 生体影響に関する調査研究

<原著>片側パーキンソン病マウスを用いた脱法ドラッグ生体影響試験
 片側パーキンソン病マウスの行動観察による脱法ドラッグ生体影響試験を試みた.マウスの一側の黒質緻密層にカテコールアミン神経選択毒の6−ハイドロキシドーパミン(6-OHDA)を注入して,片側パーキンソン病マウスを作製した.ドーパミン(DA)受容体に直接結合するアポモルフィンの微量投与によって,6-OHDA注入側の反対側方向への回転運動が生じたマウスを行動観察実験に用いた.このマウスは神経細胞外DA量を増す薬物投与では注入側方向への回転運動が生じ,セロトニン作動性神経作用薬物の投与では回転運動は観察されなかった.これらの結果から,本試験法は脱法ドラッグ生体影響試験として有用であることが判明した.
片側パーキンソン病マウス,6−ハイドロキシドーパミン,脱法ドラッグ,除神経感受性増大,ドーパミン,行動観察

 

論文Ⅵ 公衆衛生情報に関する調査研究

<資料>世界におけるHIV/AIDS死亡の分析
 WHOが公表している人口動態統計情報を用い,日本をはじめとする世界各国におけるHIV/AIDSによる死亡状況を分析した. 日本における死亡者は,1995年に男子52名,女子4名であり,以後,男子50名前後,女子数名の状況は変化せず,2006年には男子55名,女子5名となっている.アメリカの状況は日本とは大きく異なる.1987年の男子12,088名,女子1,380名からはじまり,急速に死亡者が増加し,1995年には男子35,950名,女子7,165名とピークを示した.その後急激に減少し,2005年には,男子9,189名,女子3,354名となっている.1995年以降の死亡者の急激な減少は,HAART療法の効果によるものと考えられている.この死亡者の急激な減少は,イギリス,フランス,ドイツ,イタリアなど多くの国で観測され,いずれもHAART療法の効果によるものと推定される.一方,ポルトガル,ウクライナ,ロシアなどでは,この死亡者の急激な減少はみられず,特に南アフリカでは死亡者が1990年以降急激に増加し,減少傾向はまったく見られない.HAART療法等により,未だHIV/AIDSによる死亡者の減少が見られない諸国において,死亡者が減少することを期待したい.
HIV,AIDS,死亡,人口動態,世界,日本,アメリカ,南アフリカ,HARRT療法,SAGE

 

論文Ⅶ 精度管理に関する調査研究

<資料>平成20年度東京都水道水質外部精度管理調査結果について   − マンガン及びその化合物,1,4-ジオキサン −
 東京都水道水質管理計画に基づき,水道事業者及び厚生労働大臣の登録を受けた機関に対し外部精度管理を行った.平成20年度はマンガン及びその化合物(以下マンガンと略す)と1,4-ジオキサンの2項目について実施した.判定基準はzスコア,中央値に対する誤差率,機関内変動係数を用いた.判定基準を外れた検査機関は,マンガンでは0機関,1,4-ジオキサンで3機関あり,2項目とも判定基準内であった機関は33機関中30機関であった.判定基準から外れた原因は,低感度の機器の使用,不適切な検量線,内部標準物質の回収率の低下によるものであった.
外部精度管理,水道水,マンガン及びその化合物,1,4-ジオキサン,zスコア,誤差率,変動係数

 

<資料>平成20年度東京都食品衛生検査施設GLP内部点検調査報告
 東京都健康安全研究センター精度管理室では,東京都食品衛生検査施設に対する信頼性確保部門の業務として,合計42施設を対象にGLP内部点検を実施し,4施設に対して改善措置を要請した.その内容は検査成績書,検査結果通知書への誤記入や誤転記及び分析機器の未整備状態での測定などに対するものであった.これらの施設に対しては,改善措置報告を受けた後,確認点検を実施し,改善状況を確認した.
適正管理運営基準, 内部点検, 信頼性確保部門, 標準作業書
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